2008-10-05 01:21:28.0
テーマ:創作 いつか、あの光の中に カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

いつか、あの光の中に 10話 「告白」

Photo

「太王四神記スペシャル、ロングバージョン」
前回は録画できず、今夜は仕事が入っていたので、娘に
録画を頼んだ私。
帰ってきた私を見るなり、娘がいきなり謝ってきた。
「お母さん!最初の5分、撮り損ねた。ごめん!」
・・最初の5分?結構新しい画像なかったっけ?
ちょっと残念!でも明日はBSでのノーカット放送開始。
職場で広報活動してるけど、皆、見てくれるかなあ・・^^

ってな事を呟きつつの、10話でございます・・ 

 




「そう・・咲乃ちゃん知ってたんだ。でもどこから?

調べたのかしらね。あの女王様ならやるかも知れない。

仁ちゃんに捨てられてキレちゃったんじゃない?

あら、嘘じゃないでしょ? あんた、オンナゴゴロって奴に

疎いから。いつもいつもあんな別れ方してたら、そのうち

刺されるなって思ってたのよ、アタシ。

・・ね、いい機会だわ。告白なさい。今更だけどはっきり

なさい。あの娘、仁ちゃんのこと好きよ。まだ気付いてない

のよ、自分の気持ちに。今までの事があるでしょう?

仁ちゃんに甘えてるみたいで、素直になれないんだと思う。


瞳ちゃん、毎日アタシとここで何の話してると思う?

芝居の話はもちろんだけど、あとは全部、仁ちゃんの話。

全部よ!全部。あんたの研究生時代の話、初舞台の話、

付き合ってた女の話・・

ふん、睨みなさんな。煮え切らない仁ちゃんが悪いのよ。

相手のことばっか考えて、自分の気持ちは二の次にして・・

瞳ちゃんに出逢う前の仁ちゃんには考えられないことよ。

変ったんじゃないのよ、それが、仁ちゃんなの。

ううん、瞳ちゃんが戻してくれたのね。本来のあんたにさ。


仁ちゃん!護ってるだけじゃ手に入らないのよ!愛してるん

でしょう?ちゃんと口に出さなきゃ鈍感なあの娘には伝わら

ないわよ!とにかく咲乃ちゃんにある事ない事話されるより

自分で言ったほうがいいわ。あんたの口から本当の気持ちを。

あんたがどれだけ美雪ちゃんを愛してたのか。

・・それも話してあげなさい」

 


さっき見た光景が頭から離れない。

稽古場の隅で、笑っていた瞳。

肩を抱く拓海。

すべてを知っている顔をして、去っていく咲乃。

 

今頃稽古場では、マリアとトニー、2人の抜き稽古をやって

いる筈だ。木島は2人だけを残して、他は帰るよう命じた。

部屋に戻ろうとした俺にも、「外出して来い」と目配せして

外に追いやった。

 


夜12時半。

瞳はまだ戻らない。

 

俺は、カウンターから立ち上がった。

 

「分かった、常さん・・・行くよ」


「ええ・・・行ってらっしゃい」

 

 

戻ると、稽古場にはまだ明かりが点いていた。


木島は帰ったのだろうか、

そこには、瞳と拓海だけがいた。


さっきと同じ場面の稽古。

2人は互いの頬に手を添え、見つめ合っている。

 


“・・あなたが兄さんを殺した?・・嘘でしょ?

ね、何かの間違いよね。どうして?何があったの?

あなたは決闘を止めにいってくれたんじゃなかったの?”


“なにがどうなったのか、僕にもよく思い出せないんだ。

気がつくとリフが刺されていて、僕は・・君の兄さんを・・

・・ごめん、本当に憶えてない、どうかしてたんだ。

このままじゃいられない。僕は行くよ。

店のオヤジさんに金を借りて、遠くの町へ行く。

さようなら・・愛してた。君と一緒に生きたかった。

君を・・愛してた”


“愛してた?今は?今はもう愛していないの?

あなたは兄を殺した。憎まなきゃいけないのに、私はあなた

を憎めない。愛してるの・・愛してる。なにがあっても私の

気持ちは変らない。1人で行ってしまうの?私は、連れて行っ

てはくれないの?・・まだ時間があるわ、朝までは。

私も行くわ。私も一緒に!だから、今夜はあなたといたい”


“愛してる。何度でも言うよ、愛してる・・一緒に逃げよう!

君は僕のものだ。そうだ・・まだ朝には時間がある”

 

 

「瞳」


言いようの無い嫉妬が心の中で渦巻いていた。

改めて“これは稽古だ。あれはマリアだ”と自分に言い聞かせる。


その時、稽古場に背を向けた俺の耳に台詞では無い瞳の声が、

 

瞳の悲鳴が・・聞こえた。

 

「イ、ヤ!!せん、ぱい・・やめて。んっ・・や、め」


「瞳、ごめん。俺を怒ってるか?でもどうしようもなかった。

子供に罪はないから・・知ってるだろ?俺には親父がいない。

俺がまた俺を作るわけにはいかなかったんだ。

俺はお前が大切だった。だから今まで、お前にだけは何も

できなかった・・好きだよ・・お前も俺を好き・・だろう?」


「せ、んぱ、い」


「お前のマリアに足りないもの、分かるよな。代表が言ってた

意味も。こんな言い方で口説きたくなかったけど、今の瞳には

必要な事だと思う。瞳、お前を抱きたいんだ。お前が欲しい・・」

 

拓海が瞳をきつく抱きしめる。

瞳は抵抗したが、拓海が瞳の手首を掴み、稽古場の大鏡に

その身体を押し付けると、除々にその力が消えていった。


うつむく瞳。

瞳からは俺の姿は見えない。が・・拓海は気付いた。

鏡に映っていたんだろう。

初めこそ驚いた顔をしていたが、瞳を抱く手に力を込めながら、

鏡越しの俺を見る目は挑戦的だった。


二人の顔が近づいてゆく。

 

握った拳に力が込もる。

だが、なぜか俺の足は心に反してそこから遠ざかっていた。

 


部屋に戻ると、暗い室内に点けっ放しになっていたパソコンの

スクリーンセーバーが能天気に瞬いていた。


パソコンの明かりだけの暗闇で窓辺に立ち、

タバコに火を点ける。

 


拓海のあの目。

瞳は・・まだあの男が好きなのか。

 

【いいのか、仁。お前はそれで、いいのか】

【お前が護るんじゃなかったのか】

【お前の愛は・・そんなものなのか】

 


バカだな・・俺は。初めから分かっていたことなのに。

瞳の気持ちがどうこうじゃない。


俺が・・・

俺自身が・・・瞳を失えないのに

 


急いで稽古場に戻ろうと、ドアノブに手を掛けたその時、

反対側から凄い力でドアが開かれた。

 

「瞳?」

 

そこには息を切らせた瞳が立っていた


暗闇の中、真っ直ぐ俺を見て目を潤ませて。

 

「どうしてここに・・拓海は」

 

「私。今、気付きました。やっと分ったんです。

私、バカで、子供で、鈍感で・・

自分の気持ちも全然分かってなかった。

ずっと待ってたはずなのに。

拓海先輩を好きだったはずなのに。

先輩が結婚して、辛くて・・でも思い切れなくて・・

それでもいいと思ってた。

私の気持ちは変ってないって思ってた。


抱きしめられて。

キスされて。


“お前を抱きたい”って言われた時、やっと分かった。


自分の心が悲鳴をあげたの。

違うんだって。

待っていたのは、この腕じゃないんだって。


私が抱きしめて欲しいのは、

私がキスして欲しいのは、

私が抱いて欲しいのは、先輩じゃない。


仁さんなんだって・・


私、ひどい女ですよね。ずるいですよね。

いつも仁さんに甘えてばかりで、今頃になってこんなこと。


“仁さんが好きです”


ごめんなさい。それだけ言いたくて。仁さ・・」

 

瞳の台詞はそれ以上続かなかった。

それは、俺が瞳を胸に閉じ込めたから。

 

小さな体は俺の腕の中ですっぽりと隠れてしまう。


瞳は泣いた。

そして、小さく震えていた。

 

俺はその時どんな顔をしていただろう。

きっと情けない、およそ影山 仁らしくない

顔だったに違いない。

 

欲しくても欲しくても、手を伸ばせなかったその肩。

夢の中で何度も抱いたその身体を、固く抱きしめる

 

「もう話すな。それは俺の台詞だ。人の台詞取りやがって・・

俺が告白しようと思ってた。今夜こそはと決心してきたんだぞ。

だがお前は拓海と・・ごめん、そうだ。俺が悪かった。

俺も今、やっと分かったんだ。理性なんて何の役にも立たない。

俺の心も、もう限界だった。

今だって、お前を拓海から奪いに行こうって・・

あぁ・・やばい。マズイな。また常さんに笑われる」


「じゃ、仁さんから告られたことにしときます?」

 

涙でグシャグシャになった顔で、いつもの憎まれ口を言う瞳。

 

「ああ。そう願いたいな。これ以上からかわれたら堪らない」

 


小さなその体を抱きしめ、唇を寄せる。

初めてそっと触れるその唇は、信じられないほど柔らかく、

微かに震えていた。

 


昔、誰だったか“キスは甘い”と言った奴がいた。

その時の俺は笑い飛ばしていたが

それは本当だったんだと今、初めて分かった。

 

ただ重ねるだけだったくちづけは、俺の今までの想いが溢れ

出し、すぐに深いくちづけに変っていった。

その瞬間、瞳は俺の腕を強く掴み、ビクっと身体を震わせ、

一歩後ずさった。


静かに唇を離した俺を、瞳は不思議そうに見上げる。

 

「・・仁、さん?」


「無理するな。怖いのか?

俺は確かにお前が欲しい、今すぐにでも。

・・・待つよ。今まで待ったんだ。

あんな事はいつでも出来る。あんな事は、重要なことじゃない。

お前がここに居る・・俺の傍に居る。それだけで俺はいい」


「仁さん、私・・」

 

瞳の髪に触れ、いつもの様にくしゃくしゃにすると、

震えていた体から、ふっと力が抜けた。


もう一度静かにその体を抱きしめる。

 

 

・・・愛しさに胸が痛い。


その顔を見つめていた俺の目の奥も熱くなっていた。

 

 

緊張が解けたんだろう。

今まで見えてなかった部屋の中を、瞳は改めて見渡した。

 

「仁さん・・パソコンやるんですか?」


「あ。そうか暗いな。ちょっと待て」


そっとその体を離し、部屋の明かりを点ける。


明るい中で改めて目が合うと、瞳は恥ずかしそうに目を伏せた。


「ん?あぁ。アレか?俺の仕事道具だ」


「そうだ!仁さんもアルバイトしてるって・・

何やってるんですか?今まで聞いた事なかったですよね」

 

今まであんなに震えていたのに、もういつもの瞳に戻っている。

ころころ変るその顔を見ていると、自然に口元が緩んでくる。

 

「ああ、聞かれなかったからな。

この稽古場、一応俺が責任者なんだが、管理人ってのは名目

だけなんだ。本当のことは木島と常さんしか知らないよ。

劇団内では“エロ小説書いてる”ってことにしてあるんだ。

2、3作書いて男共の楽屋に放り込んどくと、皆、信じるぞ」


「えー?ふふっ、でもそれ嘘なんでしょ?本当は何なんですか?」


「笑わないか?俺には、そっちの方が恥ずかしくないんだが」


「笑いませんから!・・そんなに変なことしてるんですか?」


「MIYUKIの常連に雑誌の編集長がいてな。常さんが紹介してくれ

たんだ・・子育て雑誌に、不定期にコラム載せてる。

結構人気コーナーなんだぞ。絵本の紹介とか、子育て相談とか・・

ほらみろ、笑ったじゃないか」


「子育て雑誌って、“TAMAGO倶楽部”とかってアレですか~

うふふ・・・ごめんなさい。だって・・仁さん、前に子供は

うるさいからキライだって、言ってなかったですか?

ファミレス入っても、走ったりしてる子、怒りますよね」


「バカ。愛情表現だ。親が叱らないから俺が叱ってるだけだよ。

近頃の親は、“ホラ、あの怖いおじちゃんに怒られるから止めな

さい!”だからな。嫌になるよ。幼稚園教諭の資格持ってるんだ。

・・・また笑う。愛を確認した記念すべき日だってのに、ムード

もへったくれもないな、お前は!」


「はぁはぁ・・お腹痛い・・幼稚園って、先生にでもなるつもり

だったんですか?仁さんが?ふふ・・」


「ああ。そうだ。そのつもりだった。

そのことでお前に聞いて欲しいことがある。

お前には話しておきたいんだ。聞いてくれるか?

俺の・・妹の事を」


「妹さん?」


「あぁ・・妹だ。その妹を俺は愛した。ひとりの女として。

俺が愛した唯一の女だった。そして・・その美雪を俺が死なせた」


「えっ?」


「俺が死なせたんだ。いや、殺したようなものだ。

俺のせいで美雪は死んだんだから」


「仁さん・・」


「咲乃がどこかで調べたらしい。当時、地元で色々言われた

から。病死だったが、夜中に俺が叫んだ声と救急車で、近所は

かなりの騒ぎだった・・・田舎だからな。在ること無い事、噂

って奴は広まるもんでさ。俺が、美雪の首を絞めただの、兄妹

で愛し合って美雪が妊娠、それを悲観しての自殺だとか・・・

もうまるで、韓ドラ、火サスの世界さ。警察も一時不審死扱い

で俺も任意で事情を聞かれた・・・誰かが咲乃に昔の噂を吹き

込んだのかも知れない。この間のあいつの顔が気になるんだ。

咲乃と俺のことは、知ってるか?」

 

瞳は小さく、こくんと頷いた。

 

「今から俺が話すことが本当のことだ。俺を信じろ。

もし、咲乃がお前に何か言って来ても、俺だけを信じてくれ」

 

俺は静かに話し出した。

瞳には俺の口から話さなければ。

 

俺が美雪を愛していた日々を。

何より大切に護りたいと思っていたその想いを。

 

 

 

「あれは、12年前。俺が23歳の時だ・・・」




[コメント]

1.Re:いつか、あの光の中に 10話 「告白」

2008-10-05 16:03:51.0 yukitanpoo

ebeちゃ~ん、こんにちは!

結局、告白は瞳からだったね・・・(笑) 女のほうがいざとなると
潔いのかも!?
そっか~~【韓ドラ】風なんだ・・だからおもしろくて、読むの
止められないのね~ 何回目かでもまた新たな発見とかあって
・・・毎日のup 楽しみにしてるよ~~^^

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2.Re:いつか、あの光の中に 10話 「告白」

2008-10-05 16:05:33.0 歌姫ちゃこちゃん

えべさん♪ こんにちは~☀(本当は雨だけど!)

このところ忙しくて・・・今一気に4つ読みましたぁ(^_^)/

ああ・・・やっと仁さんの気持ちが伝わって 瞳も人さんを受け入れられた
んですね~♫ めでたしめでたし・・・♫ じゃないの?

これから火サスペンス・韓ドラが始まる??ワクワク♫

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3.yukitanpooちゃーん♪

2008-10-05 17:07:58.0 えべ

こんにちはー。

今日は、伯父の法事でさっき帰ってきたの~。
やっぱ、ああいうのは疲れるね。帰りの電車、母と2人で爆睡
しちゃった^^

そうなの。告白は瞳から!
タイトル読んだ時は、仁の告白だと思ったでしょ(笑)

年下の瞳の告白に、仁、降参です・・

次回は仁の過去話。
仁のトラウマの原因が明らかに~

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4.歌姫ちゃ~~~ん♪

2008-10-05 17:12:22.0 えべ

こんにちはー。

そちらは雨なの?こっちは昼間は凄くいい天気でした。
この後、夜降ってくるみたいだけどね^^

めでたしめでたし・・じゃないのよね~(笑)
これから、色々ございますので~^^

これからもよろしくね~!

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