BGM:Page "You and me" Happy Holidays - Love Vacations
Happy Holidays - Love Vacations
BYJシアターです^^本日は「Happy Holidays」後編です。皆さんのお気に入りのあの二人に出会えましたか?まだ気になっているカップルはいますか?では最終回、お楽しみください。ここより本編。~~~~~~~~~~~【Happy Holidays -Love Vacations】後編主演:ぺ・ヨンジュン【The Guidepost to Happiness】(幸せの道標(みちしるべ))「二人でこうして食事するなんて、久しぶりね」「ヨンミョンが生まれてから、忙しかったから・・・。ママ、いつもありがとう」「パパ・・あっ、いけない・・・。(笑う)ヨンシュンこそ、いつもありがとう」「乾杯!」「乾杯!」【恋のタイトルマッチ】よりぺ・ヨンシュン・実業家(ぺ・ヨンジュン)妻・リコ (小雪)二人は久しぶりにワインで乾杯した。ソウルではちょっとおしゃれなイタリアン・レストランの個室。三人の子持ちになった二人には久しぶりのゆったりした時間だ。年末まで仕事で忙しかったヨンシュンが、新年になって、やっと仕事が一段落し、少し時期はズレたが、二人でクリスマスと新年を祝って、食事に来ている。「なんか酔っちゃいそう。ワインなんて久しぶりなんだもん」「大丈夫? 少しにしておいたほうがいいよ」「うん。早くどんどん飲めるようになりたいわ」(にこっと笑う)「そういえば、タクヤさんたちからクリスマスカード、来てたね」(オードブルを食べながら言う)「うん。今、ニューヨークのテヒちゃんたちのところへ遊びに行ってるんですって」「いいなあ、ニューヨークなんて・・・今度行こう」(リコに笑いかける)「そうね。レナさん、すっかりキレイになっちゃったわね。驚いちゃった、写真見て」「まあ、もともとキレイな人ではあったよね」(オードブルのサーモンを切りながら、あっさりと言う)「・・・そう思ってたんだ・・・」(皿から顔を上げてヨンシュンを見る)「なあに? 美人じゃない?」(リコの顔を見る)「・・・・」(じっと見る)「リコのほうが好きだよ」(笑う)「うん・・・テヒさんも美人よね?」「・・・そうだね。リコだって、美人だよ」「・・・ありがとう」「タクヤさんもヒゲを伸ばしてかっこよくなってたよね?」(食べながら言う)「そうなの、タクヤってハンサムだから、ヒゲを伸ばしても決まるわよね」(ヨンシュンの顔を見て言う)「・・・そうお?」(ちょっと気にいらない)「うん」(頷く)「・・・・」(少しムッとする)「なあに?」「やっぱり、タクヤさんはかっこいいよね?」(確認する)「ええ。だって、日本一だと思うわ。顔なんか・・・」(笑顔で言う)「・・・・そこまで言うんだ・・・」(呆れて顔を見る)「あら、パパ、どうしたの?」(ヨンシュンの顔を見る)「ふ~・・・」(なんか、やな気分)「パパは韓国一よ・・・韓国一、かっこいいわ」(笑顔で首をちょっと傾げて言う)「ふん」(鼻で笑う)「だって、こっちへ来てから、目移りする人なんてどこにもいないもん・・・」(真面目な顔で言う)「日本では、いてたの?」(驚く)「えっ? まさか・・・」(そんな・・・)「ふ~ん」「パパはたまに目移りしてたわよね・・・」(肉を切りながら言う)「そんな」(何言ってるの!)「してたわよ・・・」(肉を切っている)「・・・してないよ」(困った声)「ホントね?」(ちょっとうれしそうに見つめる)「ああ・・・」二人はちょっと見つめあう。「あっ!」「どうしたの?」「ちょっと絞ってくる。おっぱいが少し漏れてきちゃった・・・」「いいよ。待ってるから」「うん・・・」リコが席を立って、化粧室に行く。しばらく待つ。「ごめんなさい・・・。食べててよかったのに。冷めたらもったいないわ」「大丈夫?」「うん。もう授乳中はこれだから色気がないわ・・・」「でも・・・胸が大きく見えていいよ」(少し笑って言う)「やだ、そうかしら」「うん」(笑顔)「・・・でもそれって、普段の私がチッチャイってことよね?」(不服そう)「別にそういうこと、言いたかったわけじゃないけど・・・」「・・・・」(不満)「違うよ」「・・・いいわよ。訂正しなくても」(口に肉を持っていきながら顔を見つめる)「リコはいいんだよ・・・胸の大きさなんて・・・」(肉を切る)「・・・・」(うれしそうに見つめる)「今日は母さんたちが子供たちを預かってくれてよかったね」(幸せそうな顔をする)「ホント。もう少し回数を増やしてほしいくらいだわ」(笑顔で言う)「今度言っておくよ」(何気なく言う)「やだ、言わないでね。わがままな嫁だと思われちゃうから・・・」「そんなこと、思ってないよ」「そうかしら・・・」(見つめる)「大丈夫だよ。ハングルも覚えてエライって言ってたよ」(励ます)「ホント?」(うれしい)「うん・・・」(やさしく微笑む)「そう・・・よかった・・・」「一度、日本へ里帰りしなくちゃね。お母さんのお墓参りもしたいだろ? 子供たちにも見せてあげたいし」「そうね・・・。でもあの三人と行くと思うと、ちょっと面倒臭くなっちゃうの。もう少し大きくなってからでもいいわ」「いいの? ムリしなくていいよ。いつでも、連れてってあげるから」「ありがとう」(うれしい)「ああ、君の実家のお寺のあの階段が懐かしいな・・・。緊張して上ったよね」(懐かしそうにリコを見る)「そうね・・・」「懐かしいな・・・たまに思い出すんだ。あの階段。ポンって、頭に浮かぶんだよ」「ヨンシュンもそうなの? 私もよ。私は子供の頃からの思い出があるけど・・・最近はね、ヨンシュンと一緒に行った時の、あの9月の階段を思い出すの」「虫が鳴いてたよね・・・」「うん・・・。なんか思い出すと、心が洗われるような気がするのよ・・・」「僕も」「ホント?」(顔を覗くように見る)「ああ・・・」「二人の思い出ね」(じっと見つめる)「うん、素敵な思い出だよ」「・・そうね・・・」そこへウェーターが入ってくる。「ぺ様にお電話でございます」「あ、すみません。何かな?」電話を受け取る。「もしもし? あっ、母さん。どうしたの? えっ? ヨンジュンが熱を出したの?」「やだ。そろそろ、帰る?」(心配顔)「母さん、ソン先生、呼んだ? うん、診てもらって。僕たちもそろそろ帰るから・・・」「今日もここまでね」(ちょっと残念)「デザートをもらっていこうか。(ウェーターに)悪いけど、ケーキは包んでくれる?」「かしこまりました」「あ、申し訳ない。あと、二つ追加できる?」「はい」「じゃあ、追加してください」「お母様と叔母様の分?」「うん、隠れて食べるのもやだろ?」「そうね」「また今度、ゆっくり来よう」「うん」二人は立ち上がって、個室を出ようとすると、ヨンシュンがリコに言う。「リコ、いつもありがとう。僕を幸せにしてくれて・・・。すごく感謝してるんだ」(見つめる)「パパ・・・。私もヨンシュンがいるから、幸せよ・・・」二人はちょっと見つめ合って、ヨンシュンが肩を抱いた。リコは今、2歳の双子とまだ授乳中の子供の、三人の子供の子育てに忙しい・・・。まだまだ、二人の時間を持つことは難しい。でも・・・ヨンシュンと同じ風景を頭の中に思い描くことがあるのだと思うと、なぜか、心が温かくなって、幸せな思いに包まれる。横浜の実家のお寺の長い階段を二人は緊張しながら、一歩一歩上った。鬱蒼とした木々の木陰から涼やかな風が吹いていた。そして、虫たちが夏の終わりを告げるように、一生懸命鳴いていた。あの日をきっと忘れないだろう。頭に浮かぶあの階段は、ヨンシュンとリコの中では永遠だ。永遠の幸せの道標だ。二人はコートを着て、土産のケーキを受け取ると、迎えの車のほうへ急いだ。【Travel】(旅の街角)「ここで曲がるのかしら?」「どれ?」二人は初めて訪れたパリの地図を見ている。「きっとそうだよ」「ヨンソンたら、いい加減ね」(笑う)「だって、フランス語が読めないんだから、仕方ないだろ」【二人の街角】よりチョン・ヨンソン・カメラマン(ぺ・ヨンジュン)キム・リヨン・画廊勤務(チョン・ドヨン)「行ってみる?」ヨンソンとリヨンはとりあえず、歩き始める。「丘の上に住んでるんでしょ? その彫刻家」「そう。ヨーロッパですごく人気のある人なんだ。作風がね、独特でね」「写真、見せて」ヨンソンが大きなカメラマンバックから、一枚の写真を取り出す。「へえ・・・」ちょっとヨンソンを見る。「ヨンソンとなあんか似てる。でも、この人のほうがちょっと神経質な感じかな」「オレは?」「ノンキ!」(笑う)「そうかなあ。でも、この人もいい感じだよな」「うん・・・」人物写真からしばらく離れていたヨンソンだったが、二人が結婚後、リヨンにも勧められて、今は人物を中心に撮っている。ヨンソンの写真はその人の人柄や人生を切り取っていると好評で、有名なグラビア誌で、人物列伝のように、連載で写真と対談記事を載せている。そんな仕事ぶりにリヨンはとても幸せを感じている。ヨンソンはとても人好きのする人だったのに、ある時期、何もない風景ばかり撮っていた。そこには、彼の虚無感が出ていてとても辛かったから・・・。今、春の特集に向けて、海外で活躍している若手の芸術家や音楽家を中心に取材旅行を兼ねて、一月の頭から、妻のリヨンとともに、旅を続けている。一昨日、ロンドンからここ、パリに渡ってきた。二人はブラブラしながら、これから取材する先の彫刻家の家へ向かっている。時間にはまだゆとりがあった。「ねえ、見て。かわいいお店!」リヨンは、途中におしゃれな感じの小物の店を見つけた。「おまえって、そんなことばっかり考えて歩いているんだな」(呆れる)「いいじゃない。まだまだ時間があるんだもん。見てもいい?」「・・・いいよ。だめって言っても見るんだろ?」「当ったり~。よくわかってるね」(笑う)二人は、店に入る。「ヨンソン、やっぱり、パリってなんか違うわね。何か買いたいな」「大きなものはだめだよ。これから仕事なんだから」「わかってるって」リヨンは、うれしそうにどんどん奥へ入っていく。ヨンソンもそんな生き生きとしたリヨンの姿が大好きだ。奥へ入っていくと、そこには、クリスタルの動物の置物が並んでいた。リヨンが立ち止まって、じっと見つめる。「ねえ、どうしたの?」ヨンソンが後ろからリヨンに声をかけ、リヨンの見ているものに目をやった。クリスタルの動物が並んでいた。二人はじっと見つめる。あの長くて苦しい日々を思い出した。好きなのに一緒になれず、お互いに思いも告げられず、2年に一度会っていた頃。リヨンはいつもあの街角の思い出に、小さなガラス細工の動物の置物を買って帰った。懐かしいような、苦しいような・・・。「どうするの?」「え?」「見るの?」「・・・」「せっかくだから、見てみたら」「・・・そうね」リヨンはクリスタルの動物を一つ一つ見ていく。動物園が大好きなヨンソンのために買い集めたあの動物たち。今は二人の部屋に2つずつ仲良く並んでいる。「キレイだね」「ホント」リヨンが一つ手に取って、光にかざすように眺める。あの時と同じように、リヨンの目がキラキラと光った。「リヨン、大丈夫?」「・・・。ヨンソン、私、これ買うわ」「買うの?」「うん。私たちが今、どれだけ幸せなのか、今、再確認した」(笑顔でヨンソンを見る)「・・・」「こうして二人でノンキにパリの街角で買い物してるなんて、素敵よね? さっきまで当たり前に思ってたけど、これって素敵なこと・・・。思い出に買う」「そうか・・・」「うん!」「ヨンソン・・・なんて言うの?」「え?」「フランス語で、くださいって」「ええと・・・英語で言ってごらんよ」「やっぱり! 勉強してこなかったんだ。バレたわね」(笑う)「ふん」(睨む)「エクセキュゼ・モア!」リヨンがちゃんとフランス語で買い物をしている。ヨンソンは一本とられて、苦笑いをした。小さな箱に詰められた象やライオン。リヨンがうれしそうにバッグに仕舞い込んだ。「何買ったの?」「象とライオン」「そっか。また一緒に並ぶんだ」(笑顔)「うん。また2つずつ買っちゃった」「・・・・。もう別れたくないよ・・・」(真面目に言う)「ヨンソン、皆ペアじゃないと、かわいそうでしょ?」(笑いかける)「そうか・・・うん」「さあ、そろそろ行こうか。丘の上の住人が待ってるぞ」「そうね」「リヨンは奥さんに絵を見せてもらうんだろ?」「うん。去年、フランスでね、油絵の新人賞を取った人なのよ。新人のうちにうちの画廊で手に入れたいの」「へえ、夫婦ですごいんだ」「でもねえ、この奥さん、日本人だから、言葉が通じるかどうか、わからないの」(笑う)「日本語は準備してこなかったの?」(横目で見る)「もうお!」(肩を叩く)二人は地図に従って、ずうっと坂を上っていく。丘の上に、瀟洒なレンガの一軒家が見えてきた。「あそこだ」ヨンソンが指差す。「すごい! なんだか映画のワンシーンみたい・・・同じ韓国人であんな家に住んでる人もいるのね・・・」「住んでみたい?」「うん・・・」「じゃあ今度ね」「うん、期待してるわ」二人は見合って笑った。玄関のベルを鳴らすと、ドアが開き、小柄でキュートな感じの若い女性が出てきた。「あの、韓国から来ましたカメラマンのチョン・ヨンソンと申します」「ああ。お待ちしていました」「韓国語がおできになるんですね」(よかった)「少しだけです。どうぞ、中へ。主人は奥のアトリエにいますから」二人は部屋の中へ通される。妻が大きな声で、フランス語で夫を呼んでいる。「ジョンジュ! ジョンジュ! 韓国のグラビア誌のチョン・ヨンソンさんが見えたわよ!」「アトリエへ回ってもらって!」「こちらを通って、左側の奥にあるアトリエへどうぞ」「ありがとうございます」「あの・・・」「はい」「チョンさん、あなたのような素敵なお写真を撮られる方に取材していただけて光栄です。いつも、主人と、韓国のグラビアで拝見してるんです。二人ともファンなんです」「ありがとうございます。なんかうれしいなあ」(頭を掻く)ヨンソンはテレながらうれしくなる。横で聞いているリヨンも幸せだ。「じゃあ、僕はアトリエへ」「ええ。どうぞ」「あの、私が先日、お手紙を差し上げたキム・リヨンです」「チョンさんの奥様ですね。マツモト・リカです」「油絵を見せていただきたくて・・・」「どうぞ、こちらからもよろしくお願いします。まだ駆け出しなんです。私のアトリエはキッチンの近くなんですよ。こちらです」リヨンは、リカの後ろを歩きながら、リカのセーターの配色の良さに心を惹かれる。「あのお、リカさん。そのセーター、素敵ですね。色合いが独特で、センスがいいわ」「これですか? 私のデザインなんです。ジョンジュが、私にはファッション関係の染色が合っているんじゃないかって勧めてくれて。それで、始めたんです。小さなブティックに置いてもらったりして。結構ファンになって下さる方もいるんですよ」「でしょうね。・・・素敵です。その作品もありますか?」「ええ。糸からお見せできますよ」「うちの画廊に置きたいわ。素敵ですもの。きっと人気が出るわ」「こちらです・・・・・」リカに案内されて、リヨンはリカのアトリエへ入っていった。ヨンソンとリヨンの初めてのフランスは、仕事も旅も充実しているようだ。【A Happy Holiday】(幸せな休日)「見せてごらん」サングラスを外して、彼女のタートルネックの首を下げ、傷の具合をよ~く見ている。「う~ん。ずいぶん、キレイになってきたじゃないか。きっともっと薄くなるよ」「そうお?」「うん。日に当てないほうがいいぞ。日に焼くと痕が濃くなるから」「うん、そうする」(タートルネックの首を直す)「勤務中は包帯巻いていたほうが無難だな」(やさしく顔を見て言う)「かもしれない」(顔を見る)彼はサングラスをかけた。「ねえ、先輩」(ニタニタと笑う)「うん?」「寂しかった?」(腕に抱きついて顔を覗く)「なんだよ?」「ふ~ん・・・」(笑っている)「なんだよ?」ミョンジュンがジヨンの手を振り解き、逆に自分が肩を抱く。二人は、大通りを、肩を組みながら歩いていく。ミョンジュンはよそ見をしながら、歩いている。【オレたちに明日はない】よりイ・ミョンジュン・刑事(ぺ・ヨンジュン)キム・ジヨン・婦警(チョン・ジヒョン)「だって、3日も研修でいなかったでしょ? きっと寂しくて泣いてたんじゃないかなと思って」(笑顔で見ている)「おまえって、めでたいね・・・」(顔をちらっと見る)「ふ~ん。サングラス、外してごらん!」(サングラスを取ろうとする)「ふざけるなよ」(笑って嫌がる)「寂しがりや」(笑う)「どっちが?」(笑って言うが、ソッポを向いている)「先輩に決まってるでしょう?」(纏わり着くように顔を覗く)「おい、(顔を見る)鼻を鳴らして笑うなよ・・・おまえって・・・美人なのに、これだからな・・・」(呆れる)「え~え! ねえ、何て言ったの? 今」「・・・忘れた・・・」(前を見ている)「び・じ・んて言ったよね?」(うれしそう)「聞き間違いじゃない?」「ふ~ん。強がり・寂しがりや・健忘症ね!」「どこが寂しがりやだよ?」(顔を見る)「わかるのよ・・・」「おまえ、分析力なし。刑事辞めてよかったよ」(前を見ている)「ふ~ん。(笑う)自分はさんざん署に泊り込んでるくせに、私が出かけてると、寂しくなっちゃうんだよねえ」「そんなこと、ないよ。別に一緒に暮らしてるわけじゃないんだからさ」「ふん、いいですよ、認めなくても。私は先輩を知ってるから・・・」「・・・やなやつ・・・」(顔を見る)「ふ~ん」(うれしそう)年が明けて1月も終わりに近づき、ジヨンは2泊3日の婦警研修に泊り込みで出かけた。ミョンジュンは顔には寂しいとか出さないのだが、ちょっと気持ちが寂しい時はジヨンを抱く指先に力が入る。それにジヨンは気がついている。先輩、どのくらい、寂しかったの?そんなミョンジュンが今のジヨンには愛しくてたまらない。今日は久々に二人の休みが合って、ミョンジュンの家で一緒に夕食をとることにしている。大きなスーパーマーケットに着いた。「ねえ、何が食べたい? 好きなもの、作ってあげる・・・」「そうだな・・・」(ちょっと考える)ミョンジュンがカートを押して、店の中を歩く。ジヨンが楽しそうに食材を選んでいる。一見、ジヨンは料理などできそうにないように見えるが、中々どうして、家事は得意だ。ある時から、一人娘になってしまったジヨンは、両親のため、本当に親孝行な良い娘になった。刑事になって、親を心配させたこともあるが、それは元来のジヨンが持っている性格にはよく合った仕事だった。しかし、その職業の選択は、妹の事件を彷彿させて、両親には、胸が痛いものでもあった。ただ、自分を抑えて、良い娘でいてくれたジヨンが、自分を曲げず、職業の選択を貫いたことは、ある意味では、両親の気持ちをほっとさせるものがあった。ジヨンのこうした買い物姿を眺めていると、ミョンジュンはなんとなく、幸せな気分になる。初めて出会った日。ジヨンはミョンジュンの溜めに溜めた経費の精算を嫌がらず、さっさとやり遂げた。ジヨンの隣の席に蹲るように座って、デスクに横になりながら、てきぱきと働くジヨンの横顔を見つめた時に、もしかしたら、恋に落ちていたのかもしれない・・・。いや、インソンの車の運転席から颯爽と降りてきたのを見た時かもしれない・・・。「ねえ、先輩。これも買うね」見ると、納豆だ。「ええ?」「朝ごはんに。先輩好きでしょ?」右手に納豆を持って笑顔のジヨンと、カートを押しているミョンジュンがじっとお互いを見つめ合った。「そうだ。おまえの好きな太るデザートを見に行こう」ミョンジュンがカートを押して、くるりと方向を変え、どんどん行ってしまう。泊まっちゃだめだって言わなかった・・・。・・・初めてだ・・・。ジヨンは幸せそうに納豆を見る。そして、ミョンジュンの後を追った。「この生クリームたっぷりのがいいんじゃないの、おまえには」(選ぶ)「やだ。ゼリーにする・・・」(棚から取る)「こういうの好きだろ?」(驚く)「でも、今日はゼリーがいいです・・・」(カートに入れる)「そう?」「うん・・・」(見つめて笑う)ぽっこりお腹なんて見せられないもん・・・。今日はゼリーにする・・・。二人は楽しそうに買い物を続ける。ジヨンはたまに、ヨンジュのことを思い出すことがある。それは、ミョンジュンとキスした時とか、ちょっとケンカした時とか、彼がお皿を洗ってくれている時とか・・・。決して嫌な気分になるわけではない・・・。それより、ヨンジュと一緒に暮らして、彼女がとても心優しくて、素敵な尊敬できる先輩であることを知ってから、今では大好きな人なのだ。だから、たまに先輩のことを話したくなる。ヨンジュさんともそうでしたか、ホントに頭にきますよね・・・とか。こんなこと、言うんですよ、おかしいですよね・・・とか。あんなキスをされると、もう、しびれるくらい素敵ですよね・・・とか・・・。自分でもそんなことを口にするのは、バカみたいなのはわかっているので、ヨンジュにもミョンジュンにも言わない・・・。でも、密かに、時々、頭の中でヨンジュに話しかける・・・。このまま、先輩と幸せになりたいんです・・・とか・・・。ミョンジュンは何も言わなくても荷物を持ってくれる・・・。ただ笑顔で見つめるだけだ。今も彼は当たり前のように買い物袋を提げて歩いている。何も言わなくても心を抱きしめてくれる。だから、今日も幸せだ。だから・・・今日はきっと、最良の日になる。ミョンジュンのマンションの寝室の中、薄暗いスタンドが、ミョンジュンの顔を照らし出している。今の彼は、少し濡れたくせっ毛が揺れていて、いつものサングラスの強面のミョンジュンとは少し印象が違う。やさしい目をして、下にいるジヨンを見下ろしている。ジヨンの指先が少し伸びたミョンジュンのあごヒゲを撫でる。そして、頬を撫でる。鼻筋を撫でる。眉を撫でる。そして、また頬を撫でて、唇に触れる。そしてまた、髪を撫でている。そんな一つ一つの仕草をジヨンの目が追っている。ミョンジュンを愛しそうに見つめ、動いていくジヨンの瞳をミョンジュンはじっと見つめている。ジヨンの瞳がキラキラと光り揺れている・・・。ジヨンは、妹のナヨンの事件以来、男性に触れられるのが怖かった。心を許すことが怖かった。でも。ミョンジュンは出会った時から、いつもジヨンが抱きしめてほしい人だった。先輩の心がいつもジヨンを抱きしめてくれたから・・・。そして、いつもなんの衒いもなく、付き合ってくれたから、裸の心のまま、先輩を慕うことができた。先輩がまるごと、ジヨンを受け止めてくれるように、ジヨンも先輩を思いきり抱きしめたかった。そして、思いきり抱きしめてほしかった。こうして、二人でベッドにいること・・・。それは、ジヨンの夢でもあったが、なかなか先輩はそのような関係にはなってくれなかった。自分の結婚の失敗からか、ジヨンの過去を思いやってからか・・・二人の心の距離はとても近いのに・・・いや、ぴったりなのに、ここまでくるのに、時間がかかってしまった。そして今、ジヨンは、ミョンジュンとここにいる。いざ、憧れのミョンジュンとこうしていても、ジヨンは呼吸が苦しい。こんなに愛している人と一緒にいるのに・・・。ジヨンの指がゆっくり、ミョンジュンを撫でていくのを、ミョンジュンは黙ってじっと見つめていてくれる。ミョンジュンがやさしくジヨンの髪を撫でた。それとともに、ジヨンは大きく息を吐いた。あ~あ・・・。ミョンジュンがやさしく口づけをした。そして、ジヨンを見つめた。「こわい?」ジヨンがミョンジュンを見つめる。「・・・先輩となら・・・こわくない。きっと・・・」ミョンジュンがやさしく微笑んで、また髪を撫で、頬を撫でた。「先輩・・・」「ん?」「先輩の血がね・・・もう私の中に入り込んでいるから・・・こわくない・・・」「・・・? どういう意味?」(ジヨンを見つめる)あの時だった。ビルから落ちそうになったあの時だった・・・。「今まで言わなかったけど・・・。あのビルから落ちそうになった時、力尽きた瞬間、先輩が手首を握ってくれたでしょ・・・。あの時、先輩の腕から血が流れて、私の腕を伝わって、体の脇を通って・・・私の中へ入ってきたのよ・・・たぶん・・・。下着がね、全部、真っ赤だった・・・。それに、それを感じたの・・・。あの時の生温かい感じ。忘れない・・・」「・・・ジヨン・・・」(見つめる)「気持ち悪くなんかなかったよ・・・だって、先輩の血だもん・・・・温かかったよ、先輩」(見つめる)ミョンジュンは今の話を聞いて胸が熱くなり、思わずジヨンを抱きしめた。ジヨン!愛しいジヨン!「ジヨン・・・ジヨン・・・」ジヨンは抱かれながら、泣いた。そして、先輩の顔を両手で包み、見つめた。ミョンジュンの目から、ジヨンの顔に涙が流れ落ちた。ああ、私はこの人をぜったい放さない・・・こんなに愛してる!「先輩!」ジヨンがミョンジュンの首に抱きついた。ジヨンにとってのミョンジュン・・・。それは、ジヨンの全て。全てを受け入れてくれた人・・・喜びも悲しみも苦しさも・・・愛も!そして、全てを受け入れたい人・・・。それが先輩だ。こうして、二人の時は過ぎていく。二人で心も体も一つになって・・・。そしてまた、明日も、最良な日になる。THE ENDもう年の瀬が近づいてきましたねえ。今年の創作はこれで終わり・・・。来年はもっと楽しいものを^^今年も一年ありがとうございました^^(まだ、普通のブログは書くからね^^vこれはBYJシアターのご挨拶です^^)
BYJシアターです^^本日は「Holidays」in 2005 中編です。思い思いの時を過ごすカップルたち。今日は誰に会えるでしょうか・・・。お楽しみください。ここより本編。【Happy Holidays - Love Vacations】中編主演:ぺ・ヨンジュン【To Be or Not To Be】(恋しい胸に・・・)「よし! 荷物は全部積んだぞ!」「こんな雪の日に引越しなんて最悪!」「怒るなよ」「先輩。何やって、日本なんかに左遷されちゃったの?」「おい、そういう言い方はないだろ?」「こういうのを栄転っていうんだよ、普通は・・・」「まあね。・・・せっかく広報の主任になったのに・・・」(ちょっと下を見る)「じゃあ、おまえ、行かないの?」(きつい目つきで見つめる)「そんなあ・・・」(伏し目がちに言う)二人は引越しの荷物を積んだ小型トラックに乗り込む。【Oh,Myテディベア】よりスンジュン・商社マン(ぺ・ヨンジュン)ミンジュ・アパレルの広報(チョン・ジヒョン)「どうするんだよ?」スンジュンは運転席に座ってミンジュを見つめる。「どうするって・・・普通行くでしょ?」(不服そうな声)「でも、いやならいいよ」「いやとは言ってないじゃない」(ちょっとケンカごしに言う)「でも、仕事辞めたくないんだろ?」「・・・・」「一人で行ってもいいよ」「そんなあ・・・」(眉間にしわを寄せて下を向いている)「まあ、いいや。とりあえず、この荷物は実家に預けるよ」「・・・」「おい」(ミンジュを見つめる)「なあに?」「・・・まあ、いいや」スンジュンは借りてきた軽トラックのエンジンをかけた。ミンジュと二人、なんとなく気まずい。たった数週間前に、ミンジュは勤めているアパレル会社の広報部で認められ、やっと主任になったところだった。ミンジュはキャリアウーマンを続けると断言していたし、スンジュンもそれを応援していた。まさか、あれから10日後にスンジュンの日本行きが決まるとは思わなかった。まさに青天の霹靂。頭ではわかっている。二人は一緒にいたほうがいいことは。でも、なんとなく、ミンジュには解せない。どうしても、自分の中の何かが頭を持たげ、スンジュンにきつく当たってしまうのだ。二人は黙ったまま、車を走らせている。もうすぐスンジュンの実家の近くだ。今年は実家の両親はハワイへ出かけている。まさか、両親もこんなに急に彼が赴任するとは思っていなかったのだ。実家に着いて、スンジュンは自分の部屋を開け、荷物を降ろす。二人はただ黙ったまま、黙々と荷物を実家の部屋と納戸に分けて仕舞い込んだ。全てが終わって、スンジュンがミンジュを見た。二人はまだ気まずい。「じゃあ、帰るか」「うん・・・」ミンジュは来た道を帰っていくのかと思っていたが、スンジュンが違う方向に車を走らせている。ミンジュの実家の方向だ。「先輩・・・。こっちへ行ったら・・・」「おまえの家だよ・・・」(前を見ながら言う)「だって、そんな方に行ったって」「オレたち、もう住む場所もないんだから・・・おまえはこのまま実家へ帰れよ」「えっ?」(驚く)「・・・いいよ、オレと一緒にホテルになんか泊まらなくても。一人で行くよ」「・・・だって・・・」「たぶん、3年くらいしたら韓国に戻ると思うし・・・だめなら、また考える」ミンジュは、さっきまでスンジュンに冷たく当たっていたくせに、自分の希望通りに一人だけ韓国の残ることになって、なぜか急に悲しくなってきた。なぜか、涙がこみ上げてくる。鼻を啜る。スンジュンがミンジュの様子の変化に気がついた。「なんだよ」(運転しながら言う)「・・・」(鼻を啜っている)「泣くなよ」「・・・」「おまえ、残りたいんだろ? いいよ、オレは一人で行くから」「・・・」「別にヤケで言ってるんじゃないんだ。せっかくおまえが認められて、主任になったんだし。おまえには合ってる仕事だし・・・。チャンスだしな。いいよ。おまえは残れよ。それがいいよ」「・・・でも・・・」「オレの犠牲になることはないよ。自分の仕事を貫けよ」「・・・でも・・・」「オレは一人で行く。決めたよ」もうミンジュの実家は見えている・・・。「止めて!」スンジュンは、少し手前で車を止めた。「このまま、別れちゃうの?」(スンジュンを見る)「今は仕方ないだろ? オレはあさって発たなくちゃならないし。おまえが一緒にホテルに泊まる必要はないよ」「・・・」「泣いたって仕方ないだろ? オレは・・・おまえを応援してるだけだよ」「先輩・・・」「ここで別れるか。家の前まで行かなくていいのか?」「・・・」「そんな顔するなよ。出張でソウルにも来るだろうし、おまえも休みに東京へ来ればいいじゃないか?な?」「先輩・・・」「行くぞ。じゃあ元気でな」スンジュンはあっさり別れていってしまった・・・。ミンジュが見ている前をさっさと車に乗って、帰っていってしまった。あまりに簡単な別れだった。あんなに思いつめて愛していた人が、とてもあっさり、簡単に去っていく。確かに離婚するわけでもない。お互いの仕事を続けるためだ。先輩はミンジュに最良の選択をしてくれたのだ・・・。夜になって、ベッドに入ったが、ミンジュは眠ることができなかった。結婚して、ずっと二人でいることが当たり前だった。いや、大学時代から一緒にいることが当たり前だった。初めて一人置いていかれてしまった。確かに、彼は無常に置いていったのではない・・・。ミンジュのために、一人離れていっただけだ。ホントによかったのかな・・・。私は何をしたいんだろう。先輩がいる時は気づかなかったけど・・・先輩がいないと眠れない。そうだ、先輩は出張に行っていると思えばいいんだ。このまま、別れることになったりしないよね・・・。あんなに先輩のことを待って、結婚したのに・・・。ミンジュは寝付けず、台所へいって、ミルクを温める。母が出てきた。「ミンジュ。寝てなかったの?」(驚く)「うん。お母さんは?」「ふん。(笑う)ちょっとトイレ」「そっか・・・」「スンジュンさんはあさって発つの?」「そうよ」(ミルクパンの中を見ている)「それで、あなたが一ヶ月したら、日本へ行くのね?」「・・・・」「どうしたの?」「お母さん、私・・・」「どうしたの?」「仕事を続けようかと思って・・・」「・・・」「どう思う?」「一人でやっていけるのね?」「・・・」「ならいいんじゃない」「それだけ?」(拍子抜けして母を見る)「だって、あなたたちが決めたことなんでしょ? なら仕方ないじゃない。親が口出すようなことじゃないわよ」(ダイニングテーブルに座る)「それでいいと思う?」(ミルクをカップに入れてテーブルへ行く)「・・・どうかしら・・・お母さんにはわからないけど・・・。一つ、教えてあげようか?」母が少し笑って、ミンジュを見た。「何?」「昔、お父さんが浮気しちゃった時のこと」「そんなことあったの?」「うん・・・」「それで?」「お母さんの友達だったの・・・相手が」「えっ!」(ちょっとショック)「でも、別れなかった・・・」「それって、女の意地? お父さんや相手に対する意地なの?」「どうかな・・・。お母さんはね、その時、決めたの。別れることもできるけど、別れないって」「なんで?」ミンジュは母を見つめた。母はちょっと下を向いたが、顔を上げて、ミンジュをしっかり見据えて言った。「お母さんが生きていくのに、お父さんが必要だったからよ。絶対に失いたくない人だった・・・。もしお父さんがいなくなったら・・・そう思ったら、辛くて、きっと生きていけないような気がしたの。だから、意地じゃなくて、自分が生きるために、お父さんから離れちゃいけないって思ったのよ。一度、手放してしまったら、もう戻ってこないでしょ? 一番愛している人を自分からは手放しちゃいけないって。そう思ったのよ・・・」「・・・・。そうだったんだ。今、お父さんが亡くなってどう? 今は生きていけるの?」「だって、ミンジュ。お父さんはお母さんのもとで亡くなったのよ。もう一生お母さんのものよ」ミンジュは母の話を聞いていて、涙が出てきた。「どうしたの? ミンジュ?」母が心配そうに顔を覗きこむ。「やっぱり・・・。先輩がいなくちゃ・・・」ミンジュが急に泣き出してしまう。「ミンジュ。あなたたちはちゃんと話し合ったの? お互い、気持ちを全部出し合って、話し合ったの? 二人がしっかり決めたんだったら大丈夫よ」「お母さん・・・。私、一人じゃ、寂しくて。寂しくて・・・」一人でなんか・・・寂しくて・・・。先輩。先輩は寂しくないの?我慢できるの?私はやっぱり・・・。「・・・お母さん。私、帰るわ」「あなた、今、夜中の1時よ」「でも、帰る、先輩のところへ。このミルク、あげる」(カップを母に差し出す)「ミンジュ!・・・ちょっと、ミンジュ!」ミンジュは急いで2階の自分の部屋へ上がり、服を着替える。「お母さん、タクシー、呼んで!」「タクシーって言ってもあなた、こんな時間じゃ、危ないわよ・・・」ミンジュが座りこんで泣き出した。母は驚いてしまう。そうだ!先輩に電話しなくちゃ!先輩に自分の気持ちを言わなくちゃ!黙っていたんじゃだめだって。あの時だって、相手の気持ちをちゃんと確認しなくちゃだめだって、先輩が教えてくれたじゃない。ミンジュは携帯でスンジュンに電話する。「先輩?」「ミンジュ?」「寝てた?」「・・・いや・・・」(少し困ったような声だ)「先輩・・・」「どうしたんだ?」「迎えに来て・・・」「・・・どうしたんだよ?」「帰る。帰りたいの」「車はもうないよ。軽トラも返しちゃったし」「でも、帰りたいの、先輩のところへ」(泣き出してしまう)「おい! ミンジュ!(困惑する) ・・・じゃあ、朝になったらソウルへ出てくればいい」「今、帰りたいのお」(強く言う)「ミンジュ・・・」「・・・一人でなんか行かないで。(しゃくり上げる)置いてかないで・・・」「だって、それはおまえを・・・」「一緒に行くから。・・・一緒に行くから・・・置いてかないで・・・」(大泣きになってしまう)「ミンジュ!」「今、帰りたいの、先輩のところへ。今、会いたいのよお・・・」「わかったから・・・。なんとかするから・・・そこにいろよ」「・・・来てくれるの?」「・・・うん・・・行くよ・・・」「・・・気をつけてね・・・」スンジュンは泊まっているホテルに頼んでレンタカーを借り、車を走らせる。彼自身、ミンジュを実家に置いてきたものの、一睡もすることができなかったのだ。ミンジュは、自分でも驚きの結末だった。あんなに悪態をついていた先輩に、結局、自分のほうから一緒に行きたいと言い出したのだから・・・。いつも女は損していると言って、スンジュンに食ってかかっていたのに、いざ、はしごを外されそうになったら、自分のほうから、スンジュンにしがみついてしまった。ちょっと悔しい気もする。でも、それが愛なんだ。スンジュンが来るまで、とても安らかな気持ちでスンジュンを待つことはできなかった。午前3時に到着したスンジュンに思わず、ミンジュは抱きついた。自分のわがままに付き合って、スンジュンは寝ずに車を飛ばし、迎えにきてくれたのだ。朝も10時近くになっているが、二人はまだミンジュの実家の二階で寝ている。あんな真夜中に、大騒ぎをした娘を迎えに来てくれて、やさしく抱きしめてくれたスンジュンを、母は、起こすことはできない。もう少し、二人を寝かせておいてあげよう。二階の元ミンジュの部屋のシングルベッドで、二人は抱き合って熟睡している。二人が眠りにつけたのは明け方だった。お互いがかけがえのない人間だということを思い知った夜でもあった。今、安らかな顔をして幸せそうに眠る二人を起こそうとするものは、誰もいない・・・。【Start a new life again】(人生の旗揚げ)12月26日。今日、記念すべき初演日を迎える。ヒスはかなり緊張しているが、このチャンスをくれた彼のために全力で臨むつもりだ。【夕凪】よりYJ(キム・ヤンジュ)・作家(ぺ・ヨンジュン)チョン・ヒス・女優(ソン・イェジン)ヒスは楽屋の大きな鏡の前で化粧を整える。左側の顔を見る。交通事故でできた傷は近くで見ると、隠すことはできない・・・。しかし、特殊メイクを習ってから、なんとか遠めにはごまかすことができるようになった。女優になることが夢で終わってしまいそうなヒスであったが、YJが、舞台なら、メイク次第でなんとかなるのではないかと、アドバイスをしてくれた。そして、今日という日を迎えた。主演ではないが、舞台に立つチャンスを掴んだのだ。YJ、キム・ヤンジュ。私の愛すべき、パートナー。彼は今まで小説しか書かなかったのに、舞台のためのシナリオを何冊も書き下ろした。編集者や周りの人々は彼の行動に驚いたけれど、それが報われて、今、彼のおかげで私は役につけたのだ。ヤンジュはそうじゃないと言った。君の力だと・・・。そして、劇を書きたくなったのは、君を知ったからだと・・・。君のおかげで、仕事の幅が広がったと・・・。でも、私にはわかる。彼が私のために最善を尽くしてくれたことが。このチャンスを絶対に掴もう。女優として、自分の力で立てるように!ヤンジュが感動して、やっぱり君のために書いてよかったと思えるように!化粧が終わった頃に、楽屋をノックする音がする。「はい」「ヒス、いいかい?」「ええ」YJが入ってきた。「まだ、着替えてないんだ」「うん、これから。ねえ、ここに座って」YJは少し足を引きずるように歩き、鏡の前の椅子に座る。交通事故で負った怪我のため、彼は少し足を引きずる。でも、彼はそれを苦にはしていない。自分が生き残れたこと、ヒスと出会えて、二度目の人生を歩き始めたことを誇りに思っているのだ。ヒスは、座っているYJに顔を見せる。「ねえ、どうお?」「ぜんぜんわからないね。うまく化けるようになったなあ」(笑う)「ホント?」ヒスはもう一度鏡を見る。「自分ではなんとなくわかるけど、他人はわからないわね」左側の顔を映し、確認する。「大丈夫だよ。着替えるかい?」「ええ。ねえ、後ろのファスナー手伝ってね」「先生を使うんだ」「もちろんよ。楽屋では旦那様だもの」ヒスが着替えをし、背中を向けて、YJにファスナーをあげてもらっている。「できたよ」「ありがとう」YJがヒスの後ろ姿を愛しそうに見つめ、少しだけ、髪を撫で、肩を抱いた。「頑張れよ・・・」「うん・・・」振り返って微笑んだヒスには、華があった・・・。本当にこの子は女優として生まれてきた華がある・・・。事故で失ってしまった美貌は惜しいけれど、その代わり、心の強さを手に入れたのかもしれない。「悔いが残らないように頑張るわ」「うん!」ドアがノックされる。「ヒスちゃん、公演10分前だよ」「ありがとうございま~す!」(ドアに向かって言う)「ヤンジュ。舞台の真ん中でちゃんと見ててね!」「うん」(顔をしっかり見つめる)「先生、ありがとう」(真面目な顔をして言う)「ヒス・・・。自分の力で取った仕事だ。皆にその力を見せてやれよ」「うん!」今日はマスコミも来ている。気持ちを集中させて頑張ろう。舞台は長丁場だ。しかし、初演は皆が注目している。できるだけの力を出そう。ヒスとYJは、楽屋を出て、YJは客席のほうへ歩いていく。ヒスは舞台の袖で、椅子に座った。静かに目を閉じる。自分の中を無の状態にする・・・。開演のベルが鳴った・・・。前から三番目の客席で、緊張してYJが座っている。思いをこめて、舞台を見つめる。ヒスはそっと目を開けた。今までとはガラッと違った表情になる。甘さも怯えもない・・・女優の顔になった。そして、立ち上がり、舞台の幕が上がるのを、袖で待つ。客席のYJの目の前が明るくなった。ヒスは、まるで神が降りたように、安定した歩みで、舞台に向かって歩み出した・・・。【Home Sweet Home】(懐かしの我が家へ)シカゴ・カウンティ病院のスタッフルーム。TVが今、新年のカウントを終えたところだ。ああ、新年になっちゃったか・・・。時計を見る。11時に約束したのに、もう一時間も過ぎている。ロッカーを開けて、白衣を脱ぐ。今年も最後まで働いた・・・。スタッフルームのドアが開いて、婦長のアーニーが入ってきた。「A Happy New Year! ヨンス!」【さよならは言わないで】よりキム・ヨンス・医師(ぺ・ヨンジュン)パク・ジヒョン・妻( キム・へス)「Å Happy New Year! アーニー」「もう年が明けちゃったのね・・・。(TVを見る)ねえ、明日から休暇でしょ?」(コーヒーを入れている)「そうだよ」(着替えながら話す)「どこへ行くの? 韓国に帰るの?」(ちょっとコーヒーを飲む)「いや、ボストンへね」(セーターの上にダウンジャケットを羽織っている)「ボストン?」「うん、ジヒョンが学生時代に留学してた所。一度、二人で行ってみようっていうことになって」「・・・何年ぶり?」「さあ・・・17、8年ぶりぐらいじゃないのかな?」「そんなに? どうして行かなかったのかしら?」ヨンスが黙って、アーニーを見た。「あ、ごめんなさい・・・。思い出したわ・・・私ってバカね・・・。ごめんね・・・」「いいんだよ。これからはちょくちょく行くよ」(笑顔を見せる)「そうね。でも、こんな時期、あったかい所へ行ったほうがいいのに」「今度・・・今度、行ってみるよ」「そうね・・・。じゃあ、いい休暇を!」「サンキュ!」アーニーはヨンスの頬に頬を寄せて出ていった。明日から、ヨンスとジヒョンはボストンへ旅立つ。韓国からここシカゴまで、飛行機で渡ってきたジヒョンだったが、まだ、気軽には飛行機に乗って遊びまわるというところまでは、ホントのところ、回復しきってはいない。しかし、シカゴからボストンまでなら、ヨンスと二人でなんとか行けるだろう。着替えを終えて、スタッフルームを出てくる。まだ、働いているスタッフがヨンスに声をかけてくる。「A happy new year! Have a nice vacation!」「Thank you! Have a nice day ! Bye~!」午前0時過ぎ、年が明けたシカゴの街。空を見上げる。外は、雪がしんしんと降っている。ジヒョンは病院前の小さな、安ハンバーガーショップで待っているはずだ。ヨンスは車の往来に注意しながら、通りを渡り、店のほうへ歩いていく。店に入る。店の中は、間接照明で柔らかな明かりだ。客は2、3人。皆、病院のスタッフだ。雪を払いながら、中を見回すと、ジヒョンが一人、奥の席で本を読んでいた。「ごめん! 遅くなっちゃって」ああ・・とジヒョンが本から顔を上げた。ヨンスと共に、冷たい空気がジヒョンのもとへやってきた。「寒かった?」「ごめんね。待っただろう」「大丈夫よ。座って。この本、意外とおもしろいわ・・・。(本の表紙を見る)今、何時?」「12時12分」「ホント? 気がつかなかった」(笑う)いつも、彼女はこんな調子だ。ヨンスを責めることはない。「ねえ、お腹、空いたでしょ? 何食べる? と言っても、ハンバーガーとハンバーガーとハンバーガーしかないけど!」(メニューを見て笑う)「じゃあ、そのハンバーガーとそっちのハンバーガーとこっちのハンバーガー」「そんなに食べるの?」「冗談だよ。一つでいいよ」「What do you want?」太ったアフリカ系のウェートレスが来た。「ええとね、こっちのハンバーガーとコーヒー。ジヒョンは?」「私はアップルパイに生クリームを添えて。それと・・・コーヒーでいいわ」「OK!」ヨンスが振り返って、ウェートレスが去っていくのを見て、「ジヒョン、ここのアップルパイって最低だよ。いいの?」「うん!」(笑顔)「そう?」「今、食べたいのよ」「ならいいけど」「ねえ、両手を貸して」ヨンスが両手を差し出すと、ジヒョンがヨンスの両手を包むように握って温める。「冷たい。寒かったわね」(やさしく笑う)「ねえ・・・荷物はもうパッキング終わったの?」「ええ、ほとんどね。・・・あと、あなたを折りたたんでしまうだけよ」(笑う)「そう? ありがとう」(笑う)「いや、待てよ。もしかして、そんなに大きなの、買ったの?」「よく気がついたわね。そうよ」(得意そうに笑う)「なんで?」「驚いた? 冗談よ。私が買ったんじゃないのよ。韓国語を習いに来ている生徒さんたちからのプレゼントなの」「なんで?」「新婚旅行にどうぞって」「あ~あ、そういうこと。・・・ホントだ・・・。新婚旅行へ行ってなかったね」「そうなの。私も言われて気がついたわ。いつも自分たちの居場所が移動しているから気がつかないでしょう?」ジヒョンはふざけて言ったのに、ヨンスは感慨深げにジヒョンを見る。そこへハンバーガーとアップルパイが来た。ジヒョンはうれしそうな顔をして、バッグから袋を取り出し、アップルパイの生クリームの上に細長いろうそくを一本立てる。「ねええ。もうカウントダウンは終わっちゃったけど、二人で新年を祝いましょ!」「そういうことね・・・」(アップルパイを見る)「うん・・・」さっきの大柄なウェートレスがドンドンドンとやってきて、パッと手を出し、ろうそくに火をつけて微笑む。「A Happy New Year! Doctor!」「Thank you!」また、去っていくのを振り返り、ヨンスが見る。「怒られるかと思ったよ」「私も!」二人で笑う。「・・・新年明けましておめでとう。今年もよろしく」「明けましておめでとう。今年も仲良くしていきましょうね」「ああ・・・」「アーニーが、もっとあったかいところへ行けばいいのにって言ってたよ」(食べながら言う)「ホントにそうよね。来年はバハマでも行く?」「・・・う~ん、そうだね・・・」「・・・・」(顔を見る)「どうしたの?」「ヨンス、何か、隠してる?」「ふ~ん・・・。(ちょっとため息をついて)実はね、ソウルの○○大学のERの助教授に来ないかって教授から手紙が来たんだ・・・。母校じゃないけど」「・・・なんで黙ってたの?」「・・・韓国に戻るのは、君には辛いかなと思って・・・」「なぜ?」「お父さんやお母さんや・・・ジウォンのことがあるだろう・・・」「ヨンス・・・。気にしなくてもいいのよ。私には家族はあなただけでいいの。私たちは世界中どこへ行っても一緒なんだし。二人だけでいいの」「・・・うん・・・」「それより、その話・・・行きたいんでしょう?」「う~ん・・・。ここも楽しいけどね」「そうお?」「・・・」二人はしばし押し黙る。「・・・ヨンス、帰りましょう、韓国へ」「えっ?」「あなたの力を生かせるところへ。だって、アメリカじゃあ、臨床で患者を見られないんでしょ?」「まあね。でも、研究医も慣れたよ。ここ一年やって、結構おもしろいし」「でも、それは本来のあなたじゃないわ・・・。それじゃつまらないじゃない。せっかくのあなたの力が生かせてないもん・・・。行くところがあるなら、帰ろう。ちゃんと人助けができるところへ帰ろう」「・・・・」(ジヒョンを見つめる)「ヨンス、なんの心配もいらないのよ。あなたとだったら、韓国まで飛んでいくわよ」「・・・一緒なら平気だよね?」「ええ。だって、ここまであなたを追ってきたんですもの。帰れるわ、きっと・・・」「そうだよね・・・」見つめ合う。「ヨンス・・・。あなたが高波に飲み込まれて死にかけた時・・・私は・・・神様と約束したの・・・」「・・・何を?」「あなたを返してくれたら、助けてくれたら、一生かけてこの恩返しをしますって。一生医学に携わって、神様、あなたのお手伝いをしますって。 たくさんの人を助ける約束をしますから、ヨンスを返してくださいって・・・」「そうだったの・・・」(胸がいっぱいになる)「うん・・・」「そうだったんだ・・・」「だから、あなたを生かせるところへ帰るべきだわ。私はそれを一番願っているのよ」「・・・」「・・・」「ありがとう」「・・何が?」「やっぱり、君が助けてくれたんだね」(顔を見つめる)「違うわ。医者でしょ?・・・そんなことわかってるじゃない・・・」「・・・ありがとう・・・」二人は、ハンバーガーショップの外へ出る。雪が積もってきた。「明日、飛行機、飛ぶかしら?」ジヒョンがちょっと心配そうに空を見る。「ジヒョン、明日は明日の風が吹く。だろ?」(顔を覗きこむ)「(笑う)そうね!」「いつもは君の台詞だったね。今回は僕に任せて。いいだろ?」「(笑う)もうお、頼もしいわ!」「行こうか。車までちょっと濡れるよ」ヨンスは、自分のコートでジヒョンを包み込む。ジヒョンはヨンスにぴったりくっついて、二人は地下鉄の高架下に止めてあるヨンスの車まで、抱き合うようにして、歩いていった。後編へ続く。
BYJシアターです。もう年末^^先日、孫さんがHappy Holidayと書いていたので、古い作品を思い出しました^^こちらは、2005年に書いた創作映画の主人公たちのその後の「Holidays」をお送りします。この年末年始、どのように過ごしたのでしょうか。こんなことをして、いつも楽しんでいる私です^^一言で言うと・・・「おめでたい」^^BGMは私の大好きな「You and Me」^^これは、私のテーマソングです^^ではここより本編。オムニバスでお送りします。~~~~~~~~~~~~~~~【Happy Holidays-Love Vacations】1主演:ぺ・ヨンジュン(2005年12月作品)【Win or lose】(毎日が戦い・・・)ジリジリ・ジリジリ・ジリジリ・・・・「おい、鳴ってるよ・・・」(背中を向けて寝ている)「う~ん・・・・・・」(背中を向けている)ジリジリ・ジリジリ・ジリジリ・・・・「鳴ってるって・・・」「う~ん・・・」「目覚まし、鳴ってるよ・・・行けよ・・・・」「う~ん・・・・」「早く・・・」「うん・・・」女がベッドから足を伸ばして床を触る。「冷たい!」「・・・冷たくても行けよ・・・」彼のほうを向く。「ねえ、行ってよ・・・」「え~え、なんでオレなの? おまえがテーブルの上に置いてきたんだろ?」「でも、行って・・・床が冷たいもん・・・」「オレだって、冷たいよ。早く行って、目覚まし止めて、リモコン取ってこいよ」「だって・・・寒いもん・・・」「・・・普通さあ」寝返りをして、仰向けになる。「目覚ましもエアコンのリモコンもベッドサイドに持ってくるだろ。なんであんなところに置くんだよ」(横目で見る)「だって、昨日はいいような気がしたんだもん」「おまえさ・・・いつもちゃんと置くところ決めておけよ。いつも行き当たりばったりなんだから・・・。外の気温はマイナス10度近いんだよ。普通、近くに置くよ」「ねえ、持ってきてよ」「やだよ。おまえが置いたんだろ?」(また目がとろんとする)「ねえ・・・じゃあ、ジャンケン」「なんで?」「もう!」女が布団から顔を出して、テーブルの上のリモコンを見ると、部屋にかけてあるスーツが目に入った。「ねえ、自分のスーツだけ、ハンガーにかけたの? 私のドレス、しわしわじゃない!」「自分でやれよ、そのくらい・・・」(また寝返りを打って後ろを向く)「もう、自分だけズルイんだから!」「・・・ストリップなんかするからだよ・・・」「ひどお~い! いいって言ったの、自分じゃない・・・」「早くリモコン・・・」(寝ながら言っている)「バカ!」「なんだよ? バカって」「昨日は楽しそうだったじゃない?」「それとこれとは違うだろ?」「自分だけちゃんとしてる・・・。酔ってても自分のものだけはちゃんとするんだ!」「あ~あ!(寝返って仰向けになる)やっぱり、あっちで寝ればよかったよ。そうすればオンドルだって壊れてなかったのに・・・」「今日はこのまま、ここで寝たいって言ったの、ヨンサンだよ! この仕事場で、たまに寝るのもいいって」「もういいよ・・・オレはもう少し寝てるよ・・・おまえだけ起きろよ。あ~あ!」【隣のあいつ】よりイ・ヨンサン・作家(ぺ・ヨンジュン)ルル(スヨン)・漫画家(チョン・ドヨン)「ねええ・・」ヨンサンの肩を突く。「なんだよ・・・」(目は閉じたまま)「午後からさあ、ミー姉さんが来るんだよ。起きてよ」(注:ルルの編集者)「ミーさん?」「うん。昨日のクリスマスパーティで、文芸部の編集者の人、紹介するってヨンサンが言ったんだよ」「そんなこと、言ったっけ?」(目を開ける)「言った・・・40近くになっても残ってるかっこいいのがいるからって・・・」「ああ、そういえば・・・」(頭に手をやる)「起きて」「あ~あ」(大あくびをする)「ミー姉さんに寝てる姿、見られたくないでしょ?」「う~ん・・・。そうだな。ふう~ん・・・・。あっ! そういえば・・・フフフフ・・・ア~ハハハハハ・・・」ヨンサンが急に何か思い出して笑い出した。「バカみたい・・・何、一人で笑ってるの?」「この間さ・・・ハハハハハハ…アハハハ・・・・」(大笑いになる)「何よ?」「家の内装直してた時、あっただろ。あの時、対談があったじゃない」「あったねえ」「あの時、ここのシャワー借りたんだよね」「それで?」ヨンサンはキレイ好きだから、出かける前には必ず、シャワーを浴びていく。「あの時さ・・・ハハハハ・・・」「何よ! 気持ち悪いわねえ。何よ、ヨンサン!」(少し起き上がって顔を覗く)「それがね、ルルのところで、作品選んでたら、バスルームで音がして・・・見に行ったのよ」「そしたら?」(興味深々)「そしたら・・・(笑う)あのイ・ヨンサンが、シャワーから出てきちゃって・・・」「ゲ~」(驚いている)「それで!」「すごい! それで?」「やだ。それで?」「皆、待ってよ。ここからが、笑っちゃうんだから・・・」ミー姉さんが得意そうに編集部で話をしている。ルルが頬をちょっと膨らませて、ヨンサンを見ている。「どうしたのよ? 笑ってたってわからないじゃない!」「おまえが洗面所に来たんだと思ったんだよ」「え?」(いやな予感が走る)「それでさ・・・ハハハ・・・」(もう笑い転げている)「やだ・・・それで?」(ますますヤバイ感じ!)「出ちゃったの」(ルルを見る)「・・・裸で?」(いやな顔をして言う)「バスタオルは巻いてたよ」「・・・よかった・・・」「それがさ、私を見て驚いたもんだから、バスタオル、落としちゃって・・・」「え~え!」(若い編集者が驚く)「あのイ・ヨンサンの!」「ゲッ、すごい!」「すご過ぎるよ!ミーさん!」「良すぎるよ、ミーちゃん!」(年配の編集者が驚く)「バスタオルは巻いてたんだけど、(笑っちゃう!)ミーさんを見て驚いたら、落ちちゃったんだ!」「ヨンサン!」(ショック!)「おかしいだろ?」(笑ってる)「やだ、おかしくないよ! やだ・・・私、もう編集部には行けない! もう顔出せない!」「なんで?(驚く) おまえがやったわけじゃないじゃない?」「きっともう、笑い者よ・・・。やだ! なんで? なんで私じゃないって気づかなかったの? 妻と他人の気配がわからないの?!」「だって、他人がいるとは思わないじゃない?」「だって、ここは仕事場よ。もう・・・バカ!」「仕方ないじゃないか・・・」(困った顔をする)「ヨンサンは私以外の人に見られても平気なんだ」「そういうことじゃないだろ?」「私なんか・・・ヨンサン以外の人に、見せたことなんてないのに・・・。たくさん、付き合ってたから、平気なんだ・・・」「何言ってるんだよ・・。・・・ルル? おい、スヨン・・・」(心配になって顔を覗く)「バカ・・・。・・・早く・・・リモコン、取ってきてよ・・・」(泣き真似をする)「・・・わかったよ・・・」ヨンサンは寒い中渋々、作業テーブルの上に置かれたままのエアコンのリモコンを取りに行き、スイッチを入れながら、ベッドに走って戻ってくる。「サンキュ!」(笑顔でルルがヨンサンを見る)「・・・こいつ!」(ムッとする)ヨンサンはまたベッドに入って、うんざりとした顔でルルを見る。ルルは笑顔でヨンサンを見る。「ありがと・・・」「おまえって・・・最低・・・」「ねえ、いつも同じ展開でよく気が付かないわね?」「もういいよ・・・。オレの人生は真っ暗闇さ」(後ろを向いて、布団を被る)「もう、ヨンサンたら・・・」背中をちょっと触る。「あ~あ、オレは選択を間違えたよ。なんで、こんな女と結婚しちゃったんだろ・・・」「何よ・・・」(ちょっと弱気になる)「もっといい女はいっぱいいたのに」「もう・・・ひどい・・・」(超弱気・・・)「なんで、こんな・・・」ヨンサンがルルのほうを向いて、お腹をつまむ。「なんでこんな、腹がブヨブヨしてきた女と結婚しちゃったんだろ!」「やだ・・・ハハハハハハ・・・・」(くすぐったくてルルは笑い転げる)「おい、行くぞ」(立ち上がる)「え~え!」(見上げる)「おまえのおかげで、目が覚めたよ。おい、行くぞ」「え~え!」「ほら、ランニング!」(見下ろす)「こんなに寒いのに!」「その腹、どうにかしろよ」「別に太ってないじゃない? 普通、このくらいつまめるわよ」「おまえは運動不足。一日中座り込んで書いてるんだから、少し動かなくちゃ!」「・・・やだ・・・寒いもん」「行くぞ」「やだ!」ヨンサンが布団を剥ごうとする。ルルが対抗して布団を引っ張る。ヨンサンが引っ張る方向へルルの体がどんどん引っ張られる。「おい、行くぞ」「もうお!やだ」「起きろよ」ヨンサンのほうが力が強くて、結局、布団を剥ぐ。「いつものパターンなのに、なんで気が付かないの?」(にんまりする)「バカ!」(ルルが見上げて悪態をつく)「起きろよ」「ねえ、今日はクリスマスだよ」「そんなの、わかってるよ」「だったら、楽しく過ごしましょ」「そうしよう。ランニングしたらね・・・それに午後はミーさんの見合いの準備をしなくちゃいけないんだろ?」「ヨンサン!」「さあ、起きろよ」「わかったあ~」ルルは仕方なく、ベッドに座り込む。「帰ってきたら、一緒に風呂で温まろう!」「ねえ、それが先がいい!」(うれしそうに言う)「ダメ。行くよ」(ルルを見つめる)「わかったわよお!」ヨンサンとルルのクリスマス。今日はランニングから始まるようだ。でも、イブの昨日はちょっと素敵な夜だった・・・ということは、違いないようである・・・。【Family Christmas】(家族でクリスマスを・・・)「ミミ!」(家の奥のほうから声がする)「なあに、ママ?」「パパの車の音じゃない? ちょっと見て!」「うん!」9月に年長になったミミが窓の外を見る。【東京恋物語―僕たちの場合】よりぺ・ヨンジュ・新聞社勤務(ぺ・ヨンジュン)妻・あずさ(石田ゆり子)あずさの母ミキ・通称ママさん(風吹ジュン)「あっ!パパだ!」玄関のドアが開き、ヨンジュが帰ってきた。「ただいま~」「お帰りなさ~い」ヨンジュがミミを抱き上げる。「ママは?」「今、キッチン!」「そう・・・」(ミミを下ろす)「パパ! お帰り」(リビングから出てくる)「亮太、ただいま」「パパ~?」キッチンから、あずさの声がする。ここ、ワシントン郊外の一軒家は、とても広々としている。「ただいま~」ヨンジュはコートを脱いで、セーター姿になって、キッチンへ入ってきた。大きなキッチンの真ん中にアイランド風に作業用テーブルがあり、そこで、あずさが料理の準備をしている。「お帰り」大きなお腹をしたあずさがクリスマスの準備をしながら、顔だけ、ヨンジュのほうを向き、キスをする。「今日は何にするの?」「うん、もうサラダもローストチキンもスープもOK.。あと、ピザを焼くだけよ」「ピザを焼くんだ」(うれしそうな顔をする)「うん」「少し座ったら。疲れただろ?」ヨンジュがキッチン用の背の高い椅子をあずさに差し出し、座らせる。「ありがとう」「これを載せるの?」「そうよ」「いろいろ具があるんだね」「ええ。あとは・・・うまく生地が発酵してるといいんだけど」「初めて?」「そうよ」(笑う)「それは・・・大丈夫かな?」(笑う)「大丈夫よ。ママさんに電話で作り方を確認しているから」「なら大丈夫かな」(笑う)「ヨンジュったら。ママさんのことは信じてるのね?」「もちろん」(大きな目をして、当たり前という顔をする)「2時間前にもね、電話をもらったの。ちゃんと手順を確認されちゃった」「心配性だね」(笑う)「ホント。これがダメでも他にも食べるものはあるのにね」ピンポン!「今ごろ、誰だろう?」「誰か呼んだの?」「いいや」二人は玄関のほうへやってくる。あずさが玄関脇の窓から玄関ホールを見る。「ママさん!」(驚く)「え、ミキさんなの?」ヨンジュが玄関ドアを開ける。「メリークリスマス!」(笑顔で立っている)「ミキさん!」ヨンジュがうれしそうにミキを抱きしめる。「お元気でしたか?」(ヨンジュがやさしく顔を覗きこむ)「ええ」(ヨンジュの腕の中でうれしそうに微笑む)「ママさん!」「あーちゃん!」(娘の顔を見て安心する)「よく来られたわね。来るなら来るって言ってくれればいいのに・・・」「だって、反対されたら困るじゃない? 来月にはまた出産のお手伝いで来るのに。あーちゃんのことだから、旅費がもったいないって言うと思って・・・」(マフラーを外してコートを脱ぐ)「まあね、図星!でも、どうやって来たの?」(コートを受け取って、洋服掛けに掛ける)「まどちゃんのお友達がね、旅行社に勤めてるから、ワシントン行きのツアに無理やり入れてもらったの。それで、添乗員さんにも頼んでくれて、タクシーに乗せてくれたのよ」(注:まどか・あずさの妹)「やだ。それだって危ないじゃない」(眉間にしわを寄せて見つめる)「大丈夫よ。少しは英語ができるんだから」子供たちが出てくる。「ママさ~ん!」「亮太!」「ミキさ~ん」「ミミちゃん!」子供たちがミキに纏わり付く。「人気者ね。ママさんは」「あーちゃん! 亮太にもミミちゃんにもクリスマスプレゼントがあるのよ」「わ~い!」ミキがスーツケースからプレゼントを取り出して子供たちに渡す。子供たちはうれしそうに「ママさん、ありがとう!」「あっちへ行って開けて見よう」「うん!」「あーちゃん、ピザの生地は大丈夫だった?」「たぶんね」「ちょっと見てみるわ」「ママ・・・そのために来たんでしょ?」「バレた? 心配でしょうがなかったのよ。夜も眠れなくて」「もう・・・ピザくらいで来ちゃうんだから」「だって・・・ヨンさんが食べるんでしょ? へんなもの、食べさせるわけにはいかないじゃないの!」「ミキさん・・・」(横で笑っている)あずさがミキとヨンジュを交互に見つめる。「もう仲良しなんだから・・・」「やだ・・あーちゃん、妬いてるの? ・・・バカね」ヨンジュがちょっとあずさの肩を抱く。あずさが笑う。「違うわよ・・・。ホントはね、ちょっと妬けるけど。(笑う)いいこと、思いついたの。ヨンジュはママの料理のいいお弟子さんだったから、二人にピザは任せようかなって」「えっ?」(ヨンジュがあずさを見る)「ヨンジュ。ママさんの直伝よ。習ってね!」「あーちゃんたら・・・」(ミキがちょっと心配そうな目をする)「僕に任せるつもり?」(笑ってあずさの顔を覗く)「そうよ! ママ、餃子の皮もママ直伝でヨンジュが作るのよ。だから、ピザも任せるわ」「うん・・・いいよ」「ヨンさん!」(ホントにいいの?)「いいんですよ。僕はそういうの、好きだから」「なんか、私、来てよかったわ。楽しくなってきちゃった!」「お二人に任せるわ!」「じゃあ、まず、あーちゃん、生地の具合、見せて」「ママさん、キッチンはこっちなの」(あずさが案内する)「へえ、さすがにアメリカの家って大きいわね。私も一緒に楽々暮らせちゃいそうね」「ママったら!出産の時だけよ!」「この子ったらケチなんだから・・・やっぱりヤキモチ焼きだわ・・・」「もう、ママ!」(ちょっといたずらっぽく睨む)「さあ、ミキさん、どうぞ」(ヨンジュがミキの肩を抱く)「ねえ、あーちゃん、お腹のほうはどうなの?」「うん、とっても元気な子みたいよ」「よかったわ。ヨンさん、名前は考えてるの?」「ええ、今、男の子の名前と女の子名前の候補が・・・・・・・・」ヨンジュがやさしくミキの肩を抱きながら、あずさについて、三人はキッチンへ入っていく。ヨンジュとあずさたちのクリスマス。ミキも加わって、なんだかとても和やかなホームパーティになりそうである・・・。【A Silent Night】(しじまの中で・・・)「薪はこのくらいでいいかな?」「ねえ、窓の外はすごい雪よ・・・少し吹雪いてきたみたい」窓の外を眺めている。「そう・・・ねえ、もうこっちへおいでよ」「うん・・・」ロッジの暖炉の火がゆらゆらと揺らめいている。「あったかい・・・」(暖炉の前に立っている)「こっちへ座れよ」「うん」「ふかふかね。相当大きいクマさんね」(笑う)「シャンペン開けるかい」「ええ、開けて」ポン!「やだ。ジョンジュ、振った?」「まさか、振らないよ」【永遠の巴里の恋人】よりチェ・ジョンジュ・彫刻家(ぺ・ヨンジュン)恋人・リカ・画家(日本人)「イブに乾杯!」「乾杯!」「おいしい!」「もっとこっちへおいで」ジョンジュがリカを抱くように手を伸ばす。「うん」リカがジョンジュの膝の間に入った。大きなクマの毛皮の敷物の上。小柄なリカがジョンジュの股の間に座って、後ろから抱かれるようにして、暖炉の火を見つめている。他にはほとんど照明を点けていない。「キレイね・・・」(暖炉の火を見つめる)「うん・・・」暖炉のオレンジ色の明かりに二人が照らし出されている。薪が燃える「パチッパチッ」という音だけしかしない・・・。「明日はスキーができるかしら?」「どうかな?」「シャモニーは何度め?」「・・・3度目かな」「そう、私は初めて。前はスキーをしたの?」「うん、学生時代だからね」「そう」「今回はどっちでもいいよ」「どっちでも?」「リカとずっとこうしてても」「そうお?」(少し微笑みながら暖炉の火を見ている)「暖炉っていいね・・・」「キレイで暖かいわ・・・」「今度、うちにも暖炉を置こうか」「いいわね。あっ!でもね、ジュリーたちの家、暖炉があるでしょ? 煙突にちゃんと網をかけておかないと、ハトとか落ちてきちゃうんだって。大変みたいよ」「でも、網をかけたら、サンタは来られないじゃない?」「ジョンジュ・・・信じてるの?」(笑う)「ああ」(リカを見る)「うそつき・・・」ジョンジュの後ろから抱く腕に力が入る。「ジョンジュ・・・」「なあに?」「ちょっときついわ」「そうお?」ジョンジュが手を離し、リカの右側の髪を梳いて、リカの首筋を見る・・・。リカは、クリスマス用に買った黒のベルベットの長いスカーフを首に巻いている。「ジョンジュ・・・う~ん」「なあに?」(頬から首を撫でる)「・・・」リカが少し首を傾げる。ジョンジュの息が頬にかかる。「う~ん・・・ねえ・・・」「なあに?」(リカのカーディガンのボタンに手をかける)「暖炉ってつけっ放しで寝てもいいのかしら?」「じゃなくちゃ、寒いだろ?」「そうね・・・」ジョンジュがリカのカーディガンを脱がせている。「ねえ・・・」「なあに?」(リカの胸を触って腰に手をかけた)「このクマさんてここの出身かしら?」「さあ、ここってクマが出るのかな?」「知らないの?」「僕はハンターじゃないからね」「そうね・・・」ジョンジュはもう、リカの重ね着しているタンクトップに手をかけている。「ねえ・・・」「なあに?」(三枚も形違いで重ね着しているタンクトップを一枚ずつ剥がす)「ここで、寝ても風邪引かない?」「さあ、どうかな・・・あとでベッドへ行ったほうがいいんじゃない」「そうね・・・」タンクトップを一枚ずつ、リカが腕を上げ、後ろからジョンジュが脱がせている。「ねえ・・・」「なあに?」(リカを後ろからやさしく抱きしめる)「ここに直接、寝るの?」「だめ? あったかくていいじゃない?」「そうね・・・」リカは今、首に細く巻きつけた黒の長いベルベットのスカーフとガーネットのネックレスだけ、他には上半身はもう、何も着けていない・・・。ジョンジュが後ろからリカをやさしく抱いているので、寒さは感じない・・・。「ねえ・・・」「なあに?」(右側から顔を覗く)「ジョンジュは・・・脱がないの?」(リカの体の両側にあるジョンジュの太ももを両手で撫でた。「脱ぐよ。(笑う)手伝ってくれるよね・・・」「・・・うん・・・」リカが振り向く。ジョンジュの唇がリカの唇を塞いだ。リカは、ジョンジュに向かい合うように体の向きを変える。二人は向き合うようにして抱き合う。唇を離して、少し見つめあった。お互いが、お互いの瞳の中に存在することを確認するように・・・。ジョンジュがリカを少し持ち上げ、胸にキスをした。リカがやさしく、ジョンジュを胸に抱く。そして、そのまま、クマの上に倒れこむように、ジョンジュを押し倒した。リカが上からジョンジュを見つめ、勢いよくセーターを引き上げ、脱がせる。ジョンジュがリカのスカーフを外す。胸にガーネットのネックレスが揺れる。少し金属音がして・・・。下にいるジョンジュが微笑み、上に跨ったリカの腰を抱いた・・・。外は激しい吹雪だ。赤々と燃える暖炉の前で、二人の影が揺れている・・・。二人が揺れている音だけ・・・。時々漏れる吐息が聞こえるだけ・・・。静かに聖夜が時を止める・・・。このしじまの中で、ジョンジュとリカは、お互いの愛の中にいる・・・。言葉はなくても、二人の恋の炎はゆらゆらと揺らめいて、激しく燃えている・・・。中編へ続く。明日はドリームハイの記者会見^^俳優の仕事が楽しくなり始めたんだから、もう少し出てみるといいよね^^休み、休みでいいから、4話だけなんていわないで・・・もっともっと出てたら?^^