2008/11/10 01:04
テーマ:ラブレター^^ カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

ありがとう。愛してます・・

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彼が生まれてくれたのも奇跡。俳優になってくれたのも奇跡。

そして・・私達と出逢えたのも奇跡・・

 



急に日が短くなった夕方。


仕事を終えて、焦って買い物に・・(暗くなると同じ時間

でも何だか急かされてるみたいで^^)

 

家に帰ってPCを開けて、ホッと一息。


昼間ブログに訪問してくれた方達に感謝して、コメント残して

くれた方達の文に頷いて、笑って、元気を貰う。


サークルの様子を見て、自分の連載のレスを読み返して。

その連載のUP準備をして、ブロメをチェックして・・

 

そんないつもの夕方に、こんなスレを発見しました。

 


公式にBGMが付いたそうですね。

そしてその歌の歌詞の訳がUPされてました。


私は最近時々しか公式を覗きませんが、それでもあそこは家族には

特別な場所。



その歌詞はまるで彼自身が私達に語りかけているようで・・

読んでいた私は、もう泣き笑い。

 


そんな風に私達の事を見ていてくれたんですね。

そんな風に私達の事を愛していてくれたんですね。

 

彼の笑顔に癒されているのは私達の方なのに。

彼からの手紙の様なその歌からは、私達への感謝の言葉ばかり。

 



公式ソング「大切な君」


聞こえますか
あなたを愛する僕の心

あなたが知らない所で
いつも読んでいただけでした
僕のような人のため
あなたが書いてくれたものを

何か足りない
僕を見つめて、大事にしてくれる
あなたのすべてを
愛しています
 
これだけは覚えてください
僕の心は
いつもあなたのそばにいることを

この愛を
言葉では表現できない
あまりにも大事なものだから
天の神様が作ってくれた
美しい出会いだから

わたしたちの愛は永遠です
心配はしないで

僕が苦しいとき
あなたの笑顔が
僕の疲れた一日を癒します

あなたの流した涙
あなたが悲しんだ時間
これからは僕がそれを守るよ
 
この愛を
言葉では表現できない
あまりにも大事だから
天の神様が作ってくれた
美しい出会いだから

わたしたちの愛は永遠です
心配しないで

別れという言葉が聞こえ
僕の心が痛くなる
あなたを思う僕の心は
いつも変わらないのに

約束します
僕を支えるのは
わたしたちがいっしょに作ってきた
大事な追憶

苦しい時も
あなたを信じます
心配しないで

天の神様が作ってくれた
美しい愛だから
わたしたちの愛は
永遠なるもの
 
愛するあなたよ

 

 

どうしよう・・・

また好きになってしまいました・・

 

これ以上は好きになれないと思っているのに、

いつも私達の予想を遥か超えた所から驚かせてくれる。


彼は、どこまで私達の心をときめかせてくれるんでしょう。

 


いつまでも信じてついていきます。


あなたが、世界一好きだから・・・・

 

 

・・・・・・


今日、以前話題に出た下北沢ツアーに行ってきます♪

総勢6名の乙女達^^が集りました~~。


仁達が公演を行った(笑)本多劇場や、

MIYUKIがある(はずの)南口商店街を散策して、

きっと話が尽きないだろうランチ会。


明日はその報告も致しますね♪


では。

 


2008/11/08 00:19
テーマ:ヨンジュンという人 カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

何故か、保護者の気分^^

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「・・歌?僕が歌っているのを聞いた事がないって?当たり前だ。ビジネスマンが

へらへら歌なんか歌っていられるか。M&Aって言うのはだな、君が考えているより

ずっと繊細で神経を使うものなんだ!僕は接待を受けても決してカラオケなんかには・・

あ!ジニョン!どこに行くんだい?・・え?スンジョンssiと、テジュンとカラオケ??

・・すまないが、急用が出来た。君とはまた明日も話せるからな。ちょっと失礼する。

ジニョン!僕のジャガーで送ってあげるよ。いや・・遠慮しなくて・・いい」


ギャハハ!遂に1人芝居ドンヒョク~^^

 

 



彼の新しいCM、ご覧になりましたか~?

牧場の草原で大きく手を広げ、木の小屋でギターを弾き歌っています!


「天は二物を与えず」と言いますが、完璧に見える彼の苦手分野は、

失礼ながら歌とダンス(禁句だった?^^)だと思ってました。


ダンスの方は、未だにその実力はベールに包まれていますが(爆)、

いよいよ、歌の実力が解禁!!

 

どうしてなんでしょうね~。

とっても素敵なCMで、とてもいい声で歌っているんだけど。

あれを見ている私は何故か、すごく照れちゃったんです^^


思ったより上手でしたね~。メイキングみたいな自然な感じで、

彼もリラックスして歌っていました~。

実力の程を知るには、あまりにも短くてよく分りませんでしたけどね♪

 

彼の歌を聴いている私。

つい最近、同じような感情だったな・・と思ったら、

先週、息子の学校の合唱コンクールに行った時に似てるんです。


クラス合唱と、音楽選択の合唱。大勢で歌っているのに、リンの声は

物凄く大きくて。会場の後ろに居た私にもハッキリ聴こえちゃったんです。


幸いリンは歌は得意で、音程が外れたわけでも歌詞を間違えた

わけでも無いんだけど、何か聴いてて恥ずかしい・・

 

ニヤニヤして、顔が綻んで。

ドキドキして、心配して。


「ああ・・うまく歌えますように」って、つい力入って祈ってました。

 

彼の歌を聴いている私と、息子の歌を聴いている私・・

同じ感情って、もしかしてこれは母の気持ちって事??

 

いえいえ、これはどちらも「愛」なんですよ!(笑)

 

 


思わず保存しちゃった、新CM。

しばらく私の癒しグッズになりそうです。

 

でも本当にいい声よね~。

ずーっと聴いていたいもの・・

 

あの歌、着メロにしたいなあ~


2008/11/07 01:00
テーマ:ライナーノーツ カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

頼もしい相棒と、ライナーノーツ (短編3作品)

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「この間から気になってた件が無事に解決したんだって?それはおめでとう。

君達家族の結束力もなかなかのものだね。まあ、僕とジニョンの結びつきには

まだまだ及ばないけど。では、ブロコリユーザーの諸君に何かお祝いを。

それからブロコリスタッフと孫君にも何か・・・え?バラ300本?

悪いが、それはジニョン専用だ」

・・なーんて、言ってたりして^^(段々セリフが長くなるね、ドンヒョク♪)



ブロコリの嬉しい知らせを聞いて、

思わずバンザイと叫んじゃった私。

3600人からのラストの追い上げ、凄かったですね~。

見事5000人クリア!でも本当にこの数日、気が重かったです~^^

 


待っている間にこちらにUPした短編。


「春の夜、夏の風・・・その始まり」・・咲乃編、瞳編。


「銀色の焔」


いかがでしたか?

 

読んでいただければ解りますが、これは

「いつか、あの光の中に」の外伝です。

 

「春の・・」は、瞳が入団する2年前。咲乃と仁が一線を越えた

キッカケと、瞳との運命の出逢いを書いた話。


「銀色の焔」は、本編中の咲乃による刺傷事件直後の話でした。

 

この「春の・・」から画像担当のmike86さんとのコラボが始まったんです。


実は、本編の1話をUPした頃にmikeさんが発表した1つの作品を

見て、私が一目惚れ^^。

だってそこにイメージしてた仁がいたんですよ~!


ぜひコラボを・・と思った私。玉砕覚悟でブロメでしか話した事が

なかったmikeさんに猛アタック!(笑)


その時はコラボは叶わず、拙い私のコラージュで凌いだのですが、

遂にこの短編でコラボが実現!!

私のわがままなリクエストにも瞬時に応えてくれて・・


その後、現在も私の創作を助けて下さっています。

 


初めてのコラボの時。咲乃編の背景とコラージュ送ってもらって・・

私、鳥肌が立ったんです。

まるで私の話から抜け出てきたみたいな画像。

彼女の切り取る表情は、いつもその瞬間を的確に捉えてくれます。


とても信頼でき、尊敬している相棒。(今、流行の?^^)

私の文章を何倍にも素敵にしてくれます。

 


さて、昨日、一昨日とコメントも沢山頂いてますが・・


まず、「咲乃編」から^^



冒頭のベッドシーン。

たった3行ですが、これ、結構濃厚なシーンです(笑)

映画ならたっぷりここを見せたい所。きっと冒頭の5分くらいは、

セリフなしの行為のみって奴でしょうか?(爆)


咲乃の女らしい部分や、そうならざるを得ない気持ちがこの話で

うまく出せているといいんですが・・


男と女って生理が違いますからね。

自分では割り切っていたつもりでも、心は仁を求めていた。

自分で愛を自覚した時、仁の隣には瞳がいて・・


「銀色の焔」の咲乃に繋がる、デリケートな部分でもあります。

 

一方、「瞳編」!

これは、一転して明るく書きました。

仁と瞳の運命の出逢い。


この日、仁の五感全体には、

瞳の声、姿・・全てがインプットされたのかも。


公園で水道の水をかぶりながら笑い転げる仁が、私のツボなんです。

 


そして、「銀色の焔」


これは前述のmike86さんに、私が贈った作品です。

初めてのコラボを終えて、書きたかったこの話を書き終えた時、

感謝の気持ちを込めて「煮るなり焼くなり好きにして!」と、贈った話(笑)

彼女、これまた凄い画像をつけてくれました!


あの事件。本編では完全にすっ飛ばしましたが、

ここでじっくり書いております。


個人的にタイトルが気に入っている話^^

瞳を失う恐怖に表情を無くした仁を考えていたら、こんな表現になりました。

 

「いつか、あの光の中に」の続編、「菜の花の記憶」は、


今、サークルで連載中の第3部「鳳仙花が咲くまでに」が完結した後、

こちらでUPしたいと思います!(私が落ち着かないので・・)


後、2話を残してますので、再来週になりますね。


また読んでくださると嬉しいです~!


 


2008/11/06 00:39
テーマ:創作 銀色の焔 カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

銀色の焔    

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ブロコリ、存続決定。おめでとー!今日は職場の飲み会で、PCを開けるのが遅くて
夜遅くに結果を知り、涙が出てきました・・これからも私なりに楽しい話題や、創作
を書いていきますので、どうぞお付き合いくださいね♪

で、今日は存続おめでとー記念(笑)で、短編をもう1つ。
内容は少し重いですけどね~。あの事件の後のお話。仁の姿に涙した方も多かった作品です・・

 





 
「キャーーーーー!!」

 

その時。

咲乃は、ただ震えていた。

 

目の前では、仁が瞳を抱いている・・瞳はもう動かない。

仁の叫ぶ声。

瞳を、愛する女を呼ぶ・・声。

 

楽屋が騒がしくなってきた。

誰かが救急車と警察を呼んだらしい。

 

これから自分はどうなるんだろう。

そうか・・これでもう、終わりなんだ。

 

事の重大さに気持ちがついていかない。

ただ咲乃の目は、仁と瞳を呆然と見つめていた。

 

 


「救急車、まだか!!アキラ、楽屋封鎖しろ。

劇団の奴らには俺から後で話す。皆まだ舞台だろ?

そこで待機だ、いいな・・・・仁、おい、仁!!」

 

「・・うごかないんだ・・さっきまで話してたんだ・・

ごめんなさいって・・自分が悪いんだって・・俺が怪我して

なくてよかったって・・笑って・・俺にわらっ・・て・・」

 

「仁、もうすぐ救急車が来る。大丈夫だ、瞳は強いよ。

こいつ今まで風邪一つひいた事ないじゃないか。

稽古がどんなに苦しくても、足が動かなくても、瞳はいつも

最後までついて来るだろう?

・・・おい!お前がそんなんでどうする!しっかりしろ!」

 

「代表!救急車来ました。それから・・警察が」


「よし。アキラ、仁と瞳を救急車へ。俺も後で行く。あ!待て。

萌、呼んで来い。病院まで付き添わせろ。いいな」

 

 

 

「咲乃」


「木島さん、私・・こんなつもりじゃなかったの。

気づいたらここが血で、いっぱいで・・あ、嫌!

ね、止めて!仁が・・仁が行っちゃう!」

 

「咲乃!!!お前、自分が何をしたのか分かってるのか?

バカヤロウ!お前はもっと自信家で、優雅で冷静で・・

こんな事・・こんな事するなんて・・」

 

「木島さんが私の何を知ってるっていうの?

私の事、何にも知らないじゃない!私はそんな女じゃないわ。

嫉妬深くて、傲慢で、ちっとも冷静なんかじゃない。

・・・憎かったの。仁は私にあんな風に微笑まない。仁は私を

愛した事なんかない。若くて、きらきらしてて・・それにあの“声”

あの声で、仁を呼ぶのよ。仁が、仁があの娘を・・・

私はここにいる。ここにいるのに!」

 


咲乃は錯乱状態だった。

警察が楽屋に来た時、震えながら木島の服の端をずっと

握っていた。連行しようと警官が腕を掴むと、叫び声を上げた。

子供がいやいやをするように、身をよじって抵抗した。


木島は咲乃を落ち着かせようと、声を掛け続けたが、

咲乃の震えは止まらない。警官が力ずくで連行しようとした

その時、舞台からその男は飛び込んできた。

 

「咲乃さん!!」

 

あれだけ震えていた咲乃の体が、何故かピタリと止まった。

焦点の定まらなかった目に、少しずつ光が戻っていく。


咲乃は男の方にゆっくりと振り向いた。

 

「斉藤・・く、ん」

 

「待ってます、俺。咲乃さんが誰を愛していようが関係ない。

俺、間違ってました。あなたが好きだから。あなたの為なら

何でもする。それが俺の愛なんだと思ってました。

あなたが俺と一緒にいてくれるなら、誰を敵に回しても、って。

俺の気持ちは知っていますよね。

一度寝たからって恋人面するなと、あなたは言うけれど。

あなたが何をしても。

あなたがどんな風に変っても、俺の気持ちは変らない。

憶えていてください。

俺が、いつも傍にいることを。いつまでも待っていることを・・」

 


連行される咲乃から抵抗する力が抜けていく。

そして一瞬、斉藤に微笑んだ後、

いつもの咲乃の顔に戻って行った。

警官が咲乃の顔を隠そうと上着を被せようとしたが、

咲乃は毅然とそれを拒んだ。

 

その頬には、確かにひとすじ涙が流れていたが、

それを拭こうともせずに、咲乃は歩き出した。

 


公演中の舞台搬入口に救急車とパトカー。

さすがに目立つこの組み合わせに、もう劇場外には野次馬が

集まっていた。咲乃はその喧騒の中、静かに車に乗り込む。

 

木島はその車を見送りながら心の中で呟いた。

 

“・・咲乃。

お前の辛さも、お前の仁への想いも。

俺は分かっていて、見ないふりをしていたのかも知れない。

お前が瞳を見る目にずっと前から気付いていたのに、

俺には止める事すら出来なかった。

お前はいつも大人で、冷静で・・

お前は誰よりも芝居を愛していた。

何が、芝居は人間観察だ!

こんな事も見抜けずに演出家だなんて、聞いて呆れる”

 


その時、木島の携帯が、緊急事態を知らせてきた。


「直人?私・・・瞳が・・ひと、みが・・」


「おい、萌!どうした、まさか?」


「違うわ、まだ、大丈夫。でもね、出血が激しいの。

病院にストックしてある血液だけじゃ足らないの。

ね、皆に声掛けてちょうだい!輸血しなくちゃ。時間がないの」


「分かった、皆に声掛ける。瞳は何型だ?」


「ABよ。AB型!あなたと一緒!ABは他の型からも貰えるって

いうけど、やっぱり・・お願い急いで!なるべく沢山、急いで!

・・・仁さん、瞳の傍から離れないの。

ずっと手握ってるの。お願い、瞳を助けて!」

 

そうだ!今は、感傷に浸ってる場合じゃない。

まずは、瞳だ。

 

木島は劇場内に戻ると、大声で叫んだ。


「おい!皆集めろ!AB型の奴何人いる?俺と酒井と、あと誰だ?

すみません。劇場関係の方でAB型の方、いらっしゃいませんか?

血液が足りないんです。ABです!AB型・・・・・あぁ拓海」

 

「代表!本当なんですね、瞳」


「あぁ。今、病院だ。詳しい話は後だ。

緊急事態だ!血が足りない。出来るだけ集めてくれ!

時間が無い。そうだな・・5分だ。」

 

それから5分後。11人が揃った。

拓海が楽屋口にいた仁と自分のファンに声を掛け、

しかも野次馬の中からも何人か手を上げてくれた人がいて、

思いがけず人数が集まった。

今どきの渋谷の若者も、結構捨てたものじゃない。

 


木島、拓海、11人のAB型。

そして斉藤が病院へ向かった。

 


「・・直人」


「萌、ご苦労だったな。今、採血してもらってる。

俺も400取ったよ。どうだ?瞳は。喉・・なのか?」

 

「うん。首の近く。でも傷そのものより、出血が・・

ね、大丈夫よね?瞳、助かるわよね?」

 

「バカ。あんな元気が服着て歩いてるみたいな奴が簡単に

死ぬもんか。いや、死なせやしない。俺の血も入れるからな、

きっと天才的才能も輸血されるよ」

 

「バカね。瞳にその浮気な性格がうつったらどうするの。

・・直人、私ね。仁さんを見ていられなかった。

あんな仁さん初めて見たわ。

お医者様の言葉も、看護師さんの言葉も、

きっと何にも聞こえてないのよ。ただ、瞳を見つめてるの。

ずっと手を握って・・神様に祈ってるの」

 

「そうか」

 

病室の中には、瞳の手を両手で握り締め、ただ祈る親友がいた。

大きなその背中が小刻みに震えて見える。

声を掛けることも出来ず、木島はそのままそっとドアを閉めた。

 


程なくして、採血を終えた劇団員と拓海、斉藤が

病室前にやってきた。

 


「一般の方、無事に終わって今、帰ってもらいました。

連絡先控えてあります。後で代表の方からお礼すると伝えて

おきました。・・・相原、瞳は?」

 


拓海達に萌が瞳の状況を説明している時、

静かにそのドアは開いた。

皆一斉に振り向く。

そして、そこに立つ男を見た誰もが、息を呑んだ。


「仁?」


そこにいたのは・・・見たこともない仁だった。

ついさっきまで同じ舞台を踏んでいた、

皆が知っている仁ではなかった。

 


稽古場で汗を光らせてタップを踏んでいる仁。

酒の席でのみんなのバカ話に、つい噴き出す仁。

劇団の廊下で、窓の外を見ながらタバコを燻らせる仁。

瞳と愛を誓い、満面の笑顔で“結婚する”と言った仁。

 

そういえば仁の顔は、このところとても穏やかだった。

ましてその幸せな笑顔を見たのは、まだ半日前だというのに。

 

瞳に出会う前、人付き合いを嫌っていた頃の仁でも、

こんな表情はしなかった。一切の感情を無くした、無の表情。

 

その体から・・銀色の焔が立ち上る。

近寄る者を寄せ付けない、白銀のオーラ。

 


「仁!おい!今、採血が済んだ。これから輸血が出来る。

大丈夫だ、瞳は助かるよ・・・仁・・仁!!」

 

「雄介いるのか」


それはとても深く、低い声だった。


「仁!」


もとよりそのつもりだったのだろう。

斉藤は何も言わず仁の前に進み出た。

 

「雄介。俺が何を言いたいか分かってるか」


「・・はい」


「あれは、咲乃に言われてか」


「いえ」


「お前が自分で?」


「はい・・そうです」


「・・そうか」

 

誰にも止める時間はなかった。

次の瞬間、斉藤の体は大きく後ろに飛ばされていた。

目の前には、大きく突き出した仁の拳・・

 

「仁!」

 

木島以下、その場にいた劇団員は固まった。

ここで仁が暴力沙汰を起こしたら・・それこそ・・


だがそれ以上、仁は手を出さなかった。

噛み締めた唇からは血が滲み、握った拳は震えていたが。


仁は大きく一回息を吐いた。

天井を見つめ、流れそうな涙を堪えている。

 

「雄介・・悪かった」

 

いつしかあの銀色の焔は消えていた。

ゆっくり振り返ると、瞳の元に戻っていく。

 

その扉が閉まってしばらくして・・

 

瞳の命を救う輸血が医師、看護師によって始められた。

 


 ーーーーー

 

 

「ねえ、仁ちゃん!今日は、お仕事ないの~?」


「ん?ないよ、どうした?」

 

久しぶりの休日。

 

“今日は瞳とどこかに行こうか”

そう考えていた仁が起きたのは、もう昼近かった。

疲れている夫を起こさずに、

瞳は萌と買い物に行ってしまったらしい。

 

ランチの客も帰り、いつものMIYUKIでのこの2人。

仁は新聞を読みながらコーヒーを飲み、おにぎりを頬張っている。

 


「あのさ。仁ちゃんのこの間のドラマ。ほら、深夜のアレ・・

瞳ちゃん、何か言ってなかった?」


「別に」


「うそ~!ホントに~何も言ってなかった?

そう。あのオンエアの晩、あんたロケでいなかったじゃな~い。

ア、レ、瞳ちゃん、アタシと見たのよ・・ここで!」

 

「・・えっ」

 

「少しはうろたえるんだ。そうよね~あんなベッドシーン。

まさかあんな・・ねぇ~」

 

「俺には笑って、素敵だったって」

 

「ふふふ、そう言ってたんだ。あ~そうなんだ。

可愛かったわよ~。ねぇ、焼きもち妬いてる女って

結構そそられるわね。アタシ襲っちゃおうかと思ったわ」


「常さん・・殺されたいのか」


「だって、ホントよ~!頬が紅潮して、何とも言えない色気が

滲み出てさ~あんたを想いながら、あんたが他の女を抱いてる

のを見てるのよ。その色っぽさっていったら・・

今度からあんなシーンのオンエアの日には外出しないことね。

アタシ、結構本気よ」

 

「常さん、やっぱ一回殺す」

 

「ギャハハハ!!これが前に木島ちゃんが言ってた

“銀色の焔”って奴?あの時のあんた、怖かったんだってね。

冷たいオーラ背負いまくりだったって、木島ちゃんから聞いた。

そりゃ、瞳ちゃんが生きるか死ぬかって時だったからね・・

しかしまったく、よくもそこまで惚れられるもんだわ。

・・・あぁ、瞳ちゃんも、こんな男でよかったのかしら。

あの娘まだまだ若いのよ~!何もこんな14も年上のAV男と」

 

「誰がAV男だ!!バカ言え、あれはちゃんとしたサスペンス

ドラマだ。俺がAVなんかに出るか!深夜枠だったからその・・

少し、過激だっただけだ。俺も一回断ったんだが・・・

瞳、遅いな。何て言ってた?何処まで行ったって?」

 

「渋谷じゃな~い?何でも今日は記念日だとか言ってたわよ。

愛しのダーリンにプレゼント買うんだ、とか言ってたわね。

・・ねぇ、何の日なの?」

 

「記念日?あれ?何だっけ。覚えがないな。今日、何日?」

 

「3月23日よ。ホントに覚えないの?」

 

「あいつの誕生日は4月だし、俺は12月。分からないな」

 

「帰るまでに思い出しときなさいよ。

あんたが覚えてれば、あの娘、喜ぶから」


「ああ・・」

 

 

新聞を畳み、残ったコーヒーを飲み干すと、仁は店を出た。


今年は春の訪れが遅く、まだ桜の樹には、固い蕾があるままだ。

その初春の駅前の商店街を、サンダル履きで散歩する。

 

駅前のガードをくぐり、本多劇場、スズナリを過ぎ、

仁はいつの間にか、劇団に来ていた。

 

「ハハ、結局ここに来ちゃうなぁ。散歩にならないや。

あ!・・そうか。そうだった。分かった。今日は、あの日だ」

 

疑問が晴れた爽快さと、その記念日の意味に、仁は微笑む。

あの日の瞳が思い出され、少し目頭も熱くなった。

 

帰ったら、まず瞳に何て言おう。

あの日のように「おめでとう」いや、やはり「ありがとう」か。

 

初めて名前で呼ばれた夜。

その声を聞いたとき感じた、胸の痛み。

瞳の女優としての才能を確信した瞬間。

 

「・・すっかり辛子の種に魔法掛けられちまったな」

 

穏やかな笑みを浮かべて、仁は家に帰っていく。


その背後の電柱にはこんなポスターが貼ってあった。

 


【第15回 劇団宇宙(そら)研究所卒業公演“コーラスライン”】
       3/22、3/23 於 本多劇場

 

 

仁のサンダルの音が、

 

   下北の街に高く響いた。

 

 


コラージュ、mike86


2008/11/05 00:46
テーマ:春の夜、夏の風・・・その始まり カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

春の夜、夏の風・・・その始まり 後編  ― 瞳 ― 

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これは、昨日の咲乃編の後編。対になってるお話です。

仁と瞳が初めて逢った日。この出逢いがあったから、2年後に瞳が入団した時に、
仁は驚いたんですね。こういう隙間を埋める短編を書くのが好きなんです、私^^






「帰るよ」


「え?泊まっていかないの?皆だってもう知ってるわ、

私達の事・・ここから会館に行けばいいじゃない。

私は仕込み、パスするけど」

 

「俺が嫌なんだ。おまえは泊まっていけばいい。

どうせ仕込みは昼までかかる。

どうぞ、咲乃様はゆっくりおいでください」

 

「バカにして・・いいわ、私は残る。あのホテルお風呂

小さかったし。静岡公演だっていうから、温泉かと期待

してたんだけどね。予算オーバーだったか。

ウチの劇団も、もう少しメジャーにならないとね。

大丈夫、任せといて。私がマスコミで稼いでくるから。

きっと来年からは高級旅館よ!」

 

「当てにしてるよ、咲乃様。

・・じゃな」

 


8月。

静岡公演。

 

翌年の大河ドラマに「新撰組」が決まったこともあり、

この年の地方公演は、話題性もあって

“新撰組、その愛”で廻っていた。

 

3月の九州を皮切りに近畿、四国、東海、関東・・

最後は北海道。

新撰組ゆかりの地での公演も予定され、宇宙(そら)

にしては珍しく、全国を廻る予定だ。

 

あの3月の夜から5ヶ月。

仁と咲乃は、ときどきこうして逢う。

 

それは愛とも恋とも違う、

ただそのひとときを、お互いの肌で埋めるだけの行為。


不思議とこの関係が爽やかなことが、

咲乃は気に入っていた。

 


言い出したのは、咲乃だった。

 

あの夜以来、咲乃は仁をよく連れ出した。

2人とも酒は強かったし、食べる事も好きだった。


地方の地酒や名物の食べ物。

芝居の話、タップの話、咲乃のマスコミでの体験談。


仁は口数こそ少ないが、酒が入るとよく喋る咲乃に

静かに相槌を打っていた・・友達として。

 

“決して結婚を望まず、自分の才能を認め、自分を

自由にさせてくれる、見た目のいい男”

 

今まで何故、気付かなかったんだろう。

こんな身近にいるではないか。

 

寂しい時に抱いてくれる温もりだけが今は欲しかった。

心を求めると、見返りを要求される。

真剣に愛した男から受けた傷は、咲乃が思っていた

以上に深かった。

 

咲乃は仁に提案する。

 

1・・お互いを自由にする事

2・・結婚を言い出さない事

3・・別れるときは、未練を残さない事

 

もとより仁に異論があるわけは無い。

そんな都合のいい女、こっちが探したいくらいだ。

 

― お互いを自由にする事 ―


ただその最初の一項目目をさっさと破り、

それまでの仁の女全てに引導を渡した咲乃には、

少々苦笑したが。

 

そうして始まった2人。

劇団内でその関係が知られるようになるのに、

そう時間は掛からなかった。

 

 

その日は、とても暑い日だった。


朝9時からの仕込みの時には、

気温はもう30度を軽く超えていた。

 

今回の芝居は時代劇ということもあり、

大道具も大掛かりだ。

 

江戸の試衛館道場、京都壬生の屯所、三条小橋池田屋。

そして、総司の死の床になる江戸の植木屋の離れ。

 

転換も多く、立て込みにも時間が掛かる。

会館内は冷房が効いているが、積み下ろしと搬入だけで

もう汗だく。ナグリを持つ手も汗で滑り、仁のTシャツは

もう3枚目だった。

 


殆どの仕込みを終えて仁が会館の外に出たのは、

もう昼近かった。


また気温が上がったらしい。

直射日光が当り、暑いと言うより痛いくらいだ。


仁は、会館の隣の大きな木のある児童公園に逃げ込んだ。

バンダナを外し、水道の蛇口から勢いよく頭に水をかける。

 

「うゎあちっ!」

 

太陽に熱せられ、熱湯のような水道水を直に浴び、

思わず後ろに飛び退くと、どこからか、くすくすと笑い声が

聞こえた。


振り向くと2人の女子高生が、通りからこっちを見て笑っている。

 


1人は背が高く、メガネのショートカット。

セーラー服のスカートから出た長い足は、

まるで“岡ひろみ”だ。


そしてもう1人は、その岡ひろみの肩くらいまでしかない、

小柄な少女。長い髪をなびかせ、肩を震わせて笑っている。

 


「やだ。ね、こっち見てるよ。もう!瞳ってば、

コラ、笑わないの!・・・まだ見てる・・行こうよ。

変な人だったらヤバイじゃない。ちょっとかっこいいけど」

 

「ガチ袋下げてるよ。劇団の裏方の人かな。今夜の仕込み

してたんだね、きっと。でもさっきの顔さ~・・アハハ、

可笑しかったね~。そうだ!ねえ、今夜行くでしょ?

めぐちゃん。“宇宙(そら)”の公演!」

 

「当ったり前じゃない。残りのバイト代はたいてチケット

買ったんだから。家のお母さんなんかさ。“受験生が芝居

なんか・・大学入ったらいくらでも見れるでしょ!”って、

こうだもん。分かってないよね~、今注目の劇団なのに。

しかもこんな地方の市民会館に来てくれるなんてさ~。

これを見逃してなりますかっての!

瞳は見たことなかったっけ?宇宙の舞台」

 

「ないよ。この前東京行った時は“レ・ミゼラブル”と

“キャッツ”ハシゴで見て109寄ったらお財布スッカラカン

だもん。なんでチケット代ってこう高いかな。

もっといっぱいミュージカル見たかったのに・・・

ね、そんなにいいの?タップ、なんだよね」

 

「そうなの。群舞がさぁ・・地響きみたいにズンズンくんのよ、

ハートにさぁ~。それに、何て言っても“影山 仁”よ。

この間はね、“ウエストサイド”だったの。あそこの代表作!

彼のベルナルド、野生の男って感じで素敵だったなぁ~」

 

「へぇ。めぐちゃんがそこまで言うなんてよっぽどだね。

ふふ・・夜が楽しみだ~」

 


すでに冷たくなっていた水を頭から浴び、

遠ざかる女子高生2人の会話を聞いていた仁は、

何故か可笑しくて仕方がなかった。

 

「ハハ・・ハッハ・・・アッハッハッハ!!」

 

何が可笑しいのか、何故笑っているのか。

自分でも分からない。


その声をずっと聞いていたいような、

何かくすぐったいような・・

 


頭を蛇口の下に突っ込んだまま、


仁はしばらく大声をあげて笑い続けた。

 

 

 

開場 6時。

開演 6時半。

 

注目の東京の劇団の公演とあって、

客の入りもまずまずだ。

 

― 時代劇 “新撰組、その愛”―


第一幕 <江戸、試衛館道場>

 

武士になりたくて、何かこの日本を変えたくて。

若いエネルギーの塊のような男達が集まってくる。


竹刀を使っての稽古の場面。


田舎で少しは鳴らした男達も、沖田の剣の前では

誰も太刀打ちできない。

 

『何だ・・もっと骨のある奴が集まると思ってたのに。

近藤さん!これじゃ俺の稽古にならないよ。

この人達、俺から一本も取れないんだ!

あんた達も悔しくないの?俺みたいな年下に負けてさ』

 

『なんだとー!!』

 

沖田1人対、20人の弟子達。

入れ替わり立ち代り、沖田に向かっていく。

・・そこから始まるタップ。


胴着、袴は本来素足。

普通のタップシューズを履く訳にはいかない。

この芝居のシューズは、草鞋の裏にタップチップが

埋め込まれた特別仕様だ。


計算された殺陣。

狭い舞台で男達の竹刀がぶつかり合う。

一歩間違えれば大怪我は免れない。

タップの乾いた音が正確にリズムを刻む。


仁の沖田は20人の男達の間をかいくぐるように、

竹刀を繰り出していく。


剣道4段の仁の殺陣は、腰が据わり構えに隙がない。

殺陣からのタップの群舞


そして最後に、

 
一足一刀の間合いからの、

仁の返し胴が見事に決まった・・

 


第二幕  <京都 池田屋事件>

 

『御用改めである!無礼をいたせば容赦なく切り捨てる!』


舞台の上での戦いと、影絵のようなホリゾントの裏での立ち回り。


総司はまるで楽しむかのように、剣を操っていた。

剣を出せば、相手が面白いように倒れていく。


思わずほころぶ笑顔。

が、その時、いきなり喀血する総司。

白いホリゾントを総司の鮮血が染めていく。

 

『あれ・・俺・・・どうしちまったんだ?これ、俺の血?』


無傷の総司が、


静かに・・崩れ落ちた。

 

 

袖に戻ると、木島がニヤケた顔で仁を迎えた。


「調子いいな、仁。なんかいい事でもあったのか?

血のりべったりなくせに、今のお前の顔、楽しそうだぞ。

池田屋の立ち回りも動き、良かったし。

ん~・・咲乃、な訳ないか。おい、教えろよ。

遂に本命の女、現る・・か?」

 

「バカ言え、そんなんじゃないさ。ただ、何か気分が

いいんだ。俺にも何故かは分からないんだけど。

この舞台ちゃんと演じなきゃって、今日は不思議に

そんな気がする・・木島。俺のラストナンバー見ててくれよ。

今日は踊れそうなんだ。今ならうまく演れそうな気がする」

 

最終場  <江戸、植木屋の離れ>

 

『姉さん!・・・姉さんどこ?・・いないのか。

皆、どこだよ・・近藤さん・・土方さん!源さん・・平助!!

俺も、行くよ。置いて行かないでくれよ。

あ、山南さん、やっと見つけた。

聞いて下さいよ。皆ずるいんです。俺が病気だからって、

先に行っちゃうんですよ。まだ腕は鈍ってない。まだやれるんだ。

・・皆、分かってくれない。

そうだ、この間から入り込んでる黒猫がいるんです。

・・見ててください・・ちゃんと斬れるんです・・おかしいな?

・・・どう・・して斬、れ・・な、い・・・・・・・・・・・・』

 


狂ったように剣を振るい、踊る総司。


仲間の幻影を、

黒猫の姿を追いかけるように、踊り続ける。

 


『・・そうか。だから・・山南さんだったのか・・

あの時と反対だね。俺を・・迎えに来たの?・・ああ・・そうか。

もうすぐ・・俺・・・ねえ、皆・・まだ闘ってるんだよな。

昔、みたいに・・まだ・・どこかで』

 

 

ラストナンバーは、仁のソロを包み込むように

隊士達が集まってくる。


新撰組隊士、攘夷志士、京都の女達。

すべてのキャストが奏でる地鳴りのような群舞。


仁の叫ぶような歌声は、観客の魂を呼び覚ました。

いつまでも、いつまでもその声は、響いている。

 

暑い夜を更に熱くして、

その幕は下りた。

 

 

終演後。

ロビーには、今踊っていたばかりの出演者が並び、

観客を送り出す。花束を渡す人、サインを求める人、

感激で役者の手を離さない人・・

 

舞台の興奮がまだ醒めず、人々の顔は紅潮している。

仁も珍しく、送り出しに出てきていた。

 

「あら?どうしたの?仁。

あなた、送り出し苦手じゃなかった?

私、初めて見たかも」

 

「あぁ。今日はそういう気分になっただけだ。なんとなく」

 

「ふ~ん。雪が降るわね。涼しくなってちょうどいいけど?」

 


興奮した観客の送り出しはなかなか終わらなかった。


客席の扉が全部閉められ、そろそろ終わりか・・と思った頃、

その声は聞こえた。

 


「あの。サインしてください」


「え、あぁ・・俺、ですか?」


「ええ。影山さん・・ですよね。影山 仁さん。沖田役の」

 


聞き覚えのある声に、

顔を上げた仁は息を呑むほど驚いた。

 

「美雪!」


「え?」


「あ。いや・・えっと・・あ、サインでした、ね」


「あの、すみません。“木村 瞳さんへ”って入れてください」


「・・キムラ・・ヒトミ・・・君の、名前?」

 

仁は改めて正面から少女を見た。


片頬だけに出来るえくぼ。

小さくてぷっくりした丸い手。

 

美雪に似ていると思ったのは、ほんの一瞬だったが、

仁はいつの間にか、その大きな目に吸い寄せられていた。

 

“あぁ、そうか。どこかで聞いた声だと思った・・昼間の”

 


「あの・・凄かったです、ラストのソロ。

私、涙が止まらなくて・・タップ、感動しました。

ありがとうございました!」

 

「あ・・ありがとう・・・あ!君」


「はい」


「いや・・・・元気で」


「え?はい。頑張ってください!」

 


仁は、静かに少女を見送った。


“岡ひろみ”と笑いあいながら、仁が今書いたばかりの

サインを大事そうに抱え帰っていく。

 


「よし!みんなお疲れ!明日はマチネもあるからな、

あまり飲みすぎるなよ。送り出し伸びすぎてケツカッチンだ。

急いで顔落とせ。解散!!・・どうした?仁。おい!」

 

「え?・・あぁ。何でもない・・・・おい、木島!」


「ん?」


「今夜付き合えよ。お前と飲みたい」

 

「さっき、咲乃がお前が変だって言ってたが、本当だな。

どうした、お前から誘うなんて。モチ、お前の奢りだよな?

よーし行こう行こう!・・あ、いいのか?咲乃は」

 

「俺達はそんな関係じゃない。相手の行動に干渉なんかしないさ」

 

「それだよ。男と女なんて、しょせん干渉しあってなんぼの

もんだろ?そういうとこが、かえって心配なんだ、俺は。

妙に冷めてるお前達がさ。遊び人の仁さんにあえて忠告だ。

・・おい!女は怖いぞ」

 


顔を落として会館を出ると、

昼の暑さを忘れるような涼しい風が吹いていた。

昨夜のような少し重い、潮の混じった風。

 

木島はメイクもしていないのに、いつも支度が遅い。

仁は、楽屋口の壁にもたれて、タバコを取り出した。

深く・・・ゆっくりと燻らせる。

 


『あの・・“木村 瞳さんへ”って入れてください』

 

キムラ・・・ヒトミ・・

 


あの少女を思い出すと、何故か顔が綻んだ。

そしてその声がまだ耳に残っていた。

 

何だろう。何か、妙な気分だ。

あ、そうか、そうだな。

今日の俺は・・・きっと変なんだ。

 

仁は口の端で小さく笑うと、

悪びれもせず遅れてきた木島と並んで、

夜の街へ消えて行った。

 

 

 

仁はまだ気付いていない。


まして瞳は、想像すらしていない。

 


それが、


5年後の永遠の約束の、

 


静かなプロローグだということを。

 

 

 

コラージュ mike86


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