2009/02/14 00:35
テーマ:鳳仙花が咲くまでに カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

鳳仙花が咲くまでに  1話  「彼女」

Photo

今週から「鳳仙花が咲くまでに」を毎土曜日連載いたします。

バーニーと運命の女性、操。
劇団メンバーも健在です。

「いつか、あの光の中に」の第3シリーズ。感想など頂けると励みになります^^

 



 ― 昔、美しい女神が罪を犯したと疑いをかけられました。

やがてそれは意地悪な神様の悪戯と分かって、女神の疑いは

晴れましたが、女神はそんな自分が許せませんでした。

暫くして女神は・・1つの花になりました ―

 

 




ひと夏の幸せが、私を臆病にする。

彼の声を思い出す度、体が震える。


どうして私はここにいるのだろう。

心はあの坂の上に置いてきたのに。

 

ごめんなさい。

私はどうしても護りたかった。


あなたと、


あなたに愛された証しを・・

 

 

 



僕が彼女と初めて逢ったのは、

早朝の下北沢駅のキオスク前だった。


その朝。

僕はいつもの時間に起き、

劇団前から日課のジョギングに出掛けた。

 

早朝の下北の街は、前夜の芝居の余韻や学生達の合コンの

跡やらで、およそ爽やかな朝とは程遠い風景だ。


道端には芝居のチラシやら、飲み捨てた酎ハイの空き缶が

散乱しているし、最近では商店街の壁一面にカラースプレーの

らくがきが、所狭しと画かれている。

 

NYにいた頃から毎日自分に課していた日課。


その頃の僕は、走る事で、自分の体を苛める事で、

かろうじて精神を保っていたのかも知れない。


“もう踊れない”


医者に言われたその言葉は僕に絶望をもたらした。

働けないマムのために6才から働き、

いい成績を取って、奨学金も手にした。


その僕にとって踊る事は、マムの笑顔を得るための

唯一の手段だったのに。

 

激しい運動は無理だと決め付けた医者の鼻を明かすように、

僕は毎日走り続けた。例え、足首は動かなくとも。

どんなにフォームが可笑しかろうとも。

 

11才でマムが入院し、

1人、ポートランドのアパートで膝を抱えていた頃。


孤独に耐えながら、海の向こうの仁を想う日々。

恋しさを憎しみに変える事で、僕の体は動いていた。

 

仁と瞳が僕の心を開放してくれた時、僕は初めて心から笑えた。

そして舞が生まれた時、

初めて心から愛しい存在がある事を知った。

 

今の僕には、仲間と家族がいる。

かけがえのない存在の片割れがいる。

 

止まっていた時の針が再び動き出した時、

僕は本当の自分に戻っていた。

39歳になった今、

僕はやっと人間になれたような気がしていた。

 

その朝。


僕はいつものジョギングコースを走り終えた後、

仁の家に寄ろうと駅前のガードをくぐり、

南口商店街に入った。


一昨日から舞が熱を出し心配だったのと、3時間後に行われる

今年度の入団試験の事で仁に話があったからだ。


駅前のキオスクで、舞の好きなポカリと自分用のミネを買い、

走って3分のMIYUKIに向かおうと走り出した時、

その声が僕の足を止めた。

 

「キャー!!すみません!歩かないで。踏まないで!

止まって、止まって下さい~!!」

 

その破壊的な悲鳴に振り向き駅に戻ると、顔面蒼白で地面に

這いつくばる女性が、両手を大きく振り回して通行人を止めて

いた。


大袈裟なその行動の理由はすぐに想像がついた。


「 Contact lens?」


掌をパーに広げ、慎重に目を階段にくっ付けるようにして探り、

近くに人が通りかかると、


「ごめんなさい!下見てくださいね。そーっと通って~~!」と、


大声をあげている。


その間も目は階段に集中したままで、

時々「ああ~~!!もう~!!」と天を仰いだりしている。

 

まだ7時前だし、日曜日だった事もあって乗降客も少なく、

皆、彼女の必死の願いを聞き入れ、階段の端を静かに歩いて

いた。

 

気が動転していたからか、初め裸眼で探していた彼女は、

急に“ハッ”とした顔をしたかと思うと、巨大なバッグの中から

メガネを取り出し(今度はブラシやポーチが派手に散乱した)

やっとのことでそれを掛けると、また地面にしゃがみこんだ。

 

僕は何分そこで彼女を見ていたのか。


その一連の動作が、あまりにも可愛くて、面白くて・・

ただじっと見入ってしまっていたのだ。


僕が我に返ったのは、

僕の足元に霧吹きの様なボトルが転がってきたからだった。

 

「寝癖直し?プッ・・あの、これ、落としましたよ」


「あ、すみません。ありがとう・・・・・ね、あなた、暇なの?

誰だか知らないけど、そこに突っ立ってるんだったら手伝って。

この状況、見て分かるでしょ?

他の人にとっちゃ、たかがコンタクト1つかもしれないけど、

今日、あのレンズには間違いなく私の一生が掛かってるのよ」

 

彼女は僕の顔も見ずに、目は地面を追ったまま、僕に命令した。

 

「一生ですか?これは大きく出ましたね、それは大変だ。

どこから落としたんですか?僕、探し物得意です。

実は3年前にも大切だったもの、やっと見つけたんです。

31年ぶりだったんですよ。ちょっと凄いでしょう?」


「31年?無くしてからそんなに経ってから出てきたの?

それは見つけたのが凄いんじゃなくて、それまで探さなかったの

がいけなかったんじゃない?横着者の極みね」


「あ、そうか。そうですね。もっと早く探せばよかったんだ。

逢いたいなら、逢いに行けばよかったんだ・・

あは、気付くの遅いよね。

・・ところで、あの・・横着者ってどういう意味ですか?」

 

それから30分程、僕と彼女は下を向き、

手は地面を這いながら話していた。

初対面の、どう見ても10才は年下の女性に説教されながら。

 

驚くくらいに彼女の話題は豊富だった。


“まもなく始まるかもしれない消費税10%時代問題”

“地下深くに閉じ込められた作業員の安否と家族愛”

“田舎のお母さんが韓国の俳優に夢中!

去年だけで5回も渡韓!”

 

彼女は手を動かしながら、口も休む事なく喋り続けた。


「・・・ね、笑っちゃうでしょう?

父はPCをすっかり母に占領されて拗ねちゃって。

だって、あんなにお金掛けてスクール通って習ってた父より、

見よう見まねでいじってる母の方が断然使いこなしてるんだもの。

私なんてPCどころか機械と名がつく物、全部ダメなのに。

母を変えたのはね、、たった一人の韓国人俳優なの。

その人のドラマを、母は両手を組んで祈るようにして見ているの。

同じDVDを何回も何回も。時には涙でぐしゃぐしゃになって・・

そしてね、ネットで知り合ったお友達と意気揚々と遊びに行くの。

気持ちまで若返った母を見てたら私、何か感動しちゃったのよ。

母をそうさせたその人って凄い人だなって。

だって何万人もの人達を虜にしてるのよ?

役者ってこんな事も出来るんだなって。

国境なんか平気で越えちゃうんだなって。


・・ねぇ、そういえば、あなたどこの出身?東京じゃないわね。

私、芝居なんかやってるから訛りには敏感なの。

大体の出身県は分かるんだけど。そうだ、訛りっていうより・・

あなた。もしかして、日本人じゃないの?」

 

そこまで話して、彼女はやっと僕の顔を覗き込んだ。

 

上下のトレーニングウェアに黒のサングラス。

黒髪に黄色い肌は見た目には日本人に見えたはずだ。

ただ、サングラスを外せば、

僕の目が灰色なのが分かっただろうけど。

 

「ん~その質問、答えが難しいですね。

それに初対面の方に話すには、少し複雑かな。

・・あ!ありましたよ。これじゃないですか?」

 

その探し物は、階段下のキオスクの新聞立ての傍に落ちていた。

少しグリーンがかったそのレンズは

コンクリートの上で小さく光っていた。

 

「キャ~!!これよ、これ!!ありがとう。助かった~!

これがなかったら今日のオーディション、

受ける前から落ちたも同然だもの」


「Audition?ですか?」


「ええ。あ、下北の人なら知ってるわよね。

今日、“劇団宇宙(そら)”の試験なの。

こんな年で研究生試験なんてちょっと不安なんだけど、

やっぱり芝居が好きだから。実は私、芝居辞めようと思ってたの。

色々思い出したくない事があって・・でもね、従姉弟に叱られた。

お前にとって芝居はそんなに簡単に捨てられるものなのかって。


私、影山仁が好きで、舞台もDVDもこの2年、何本も何本も見て・・

ふふ、私も母と同じかも。“宇宙”に運命変えられちゃったのね。

私、もうすぐ30なの。だから決心したのよ。

本当にこれを最後の挑戦にしようと思って」


「そうですか、受かるといいですね。あそこは年齢制限なんか

してませんよ。本当に見つかってよかった。

それにあんな所に落ちてて踏まれなかったなんて奇跡ですね

きっといい事あります・・まだ2時間半あるね。

じゃ、Audition、がんばって」


「え?あ。お礼!」


「いいですよ。“暇”でしたから・・・・・すぐまた逢えるし」


「あ、あなた、どっかで」


「“宇宙”への道、分かりますか?このガードを超えて本多の前を

真っ直ぐ行ったら左です。途中急坂があってその突き当たり。

すぐ分かります。じゃ!」

 

僕はサングラスを外し、彼女に会釈をするとまた走り出した。


きっかり10秒後。


さっきの悲鳴に勝るとも劣らない大音量の彼女の声が背後から

聞こえると、僕は振り向かずに走りながら、大声で笑い出した。


「・・・くっくくく・・・ハハハハハ!!!」


彼女の悲鳴はまだ聞こえる。

 

「きゃ~~!!やだ!か、げ・・影山 仁??

やだ!!私、なんて事・・どうしょ~~!!」

 

 


「ククク・・・ハハハハハ」


玄関に入るなり思い出し笑いをする僕を、

瞳が怪訝そうな顔で出迎えた。


「おはよう。朝から何?バーニーが思い出し笑いなんて。

何か楽しそう。いい事でもあったの?」


「くっくっ・・ごめん。ちょっとね、仁の顔少し借りたんだ。

あいつ、スターだから」


「彼の顔?どういうこと?」


「ん、何でもない。ね、舞の熱下がった?ポカリ買ってきた。

仁は、まだ寝てるの?あ、そうか!昨夜例の舞台の」


「うん、顔合わせを兼ねてあちらのバレエ団の方と会食だったの。

このお話、光栄なお話だけど自分にはどうかって悩んでたでしょ?

返事を延ばしてたら、楠さんが直接彼に逢いにきてくださって。

“今回の役のイメージは影山さんなんです。この間ロンドンで一緒

に踊った時、もう僕の頭の中にはセンターで踊る影山さんが見え

ていた。あなたでなきゃ駄目なんだ。僕に任せてもらえませんか。

面白い舞台にしましょう”って。あの絢也さんにそこまで言われた

ら、お断りなんて出来ないじゃない?最後は私が返事しちゃった。

“分かりました。演らせていただきます!”って」


「ハハハ、さすが、瞳だ。今回絢也氏は、振り付けと総合演出なん

だろう?あの舞台に仁を選ぶなんて。あの人のセンス、凄いや。

只者じゃないよ。だって、瞳・・・“ボレロ”だよ!

まさか、仁に・・なんて考えもしないじゃないか。

仁のタップでボレロ。

しかも群舞は絢也氏率いる超一流バレエカンパニー。

あぁ、これは絶対稽古、見学させて貰わなきゃ」

 

「バーニーおじちゃん。おはよ!」


「あ、舞。おきてだいじょうぶ?おねつは?ん、こっちおいで」

 

まだ眠い目を擦りながら、起きて来た舞。


この世の中に、こんなに可愛い存在があったなんて

僕は今まで知らなかった。


仁と瞳の娘。

僕の、“姪”

 

瞳は僕が舞を甘やかしすぎるとよく怒るけれど、

生憎と僕は親じゃない。

無責任に可愛がることが出来るのが、叔父の特権だ。

(難しい日本語は木島代表の受け売り)

実際、家を空けがちな仁より僕の方に舞は懐いている・・

と思う。(思いたい)


それに驚いた事に、これを“隔世遺伝”というんだそうだが、

舞は死んだ僕たちのマムにとてもよく似ていた。

8分の1だけしかアメリカの血は入っていないのに、

僕たち兄弟よりその血は濃そうだった。

仁にその事を言うと、おぼろげにしかマムの顔を憶えてない

あいつは、複雑な顔をする。

 

「バーニーおじちゃん!まい、おねつさがったよ」


「よかったね。でもまだ静かにしてなきゃだめだよ」


「いいの~!バーニーおじちゃんとあしょぶの!」


「う~ん、おじちゃんね。今日はおしごとなんだ。

新しい劇団の人の試験なんだよ。今日は木島のおじちゃんが

いないから、僕が責任者だからね」


「しぇきにんしゃって、なに?」


「舞。今日だけバーニーおじちゃんは

“一番えらいひと”なんだ」


「あ、仁。起きたのか?

朝からごめん、ちょっと仁に話があって」

 

寝起きの仁が長い髪をかきあげながら、リビングに入ってきた。


上半身裸で白いスウェットを腰で穿き、大股で部屋を横切ると、

冷蔵庫から出したミネを僕に放り投げる。そして自分は、

2リットルボトルの烏龍茶の封を乱暴に切り、テーブルに浅く

腰掛けながら、大きなボトルごとゴクゴクと飲みだした。

 

・・つくづく絵になる男だと、自分の兄ながら思う。

こんな姿でさえ、仁の体からはオーラが漂っている。

 

「お前、責任者って立場が気になってるのか?

いいじゃないか、実際お前は劇団副代表だ。

木島はお前に任せるって言ったんだろう?ならお前の好きに

やればいいんだよ。いくら近いからって韓国から口出しできゃ

しないんだから」


「いいのかな、僕の判断で」


「これはこれは、“ice man”さんのセリフとは思えないね。

お前の判断はいつも冷静で間違いがない。ハッキリ言って木島

より信頼できるね。あいつ、時々女を自分の趣味だけで取るか

らな。伝説の劇評家、バーナード・シン・ワイズマンのオーディ

ションを受けられるなんざ、今年の奴らは運がいいのさ」


「ありがとう、仁。

ところでお前、今日のダンス審査大丈夫だろ?」


「おう!やりますよ~。だから早起きしたんだから。

飯、まだだろ?食ってけ。瞳!バーニーの分も頼むよ」


「は~い!もう舞がその気でいるわ。

ママのお手伝いしてくれるのよね?」


「はい。おじちゃん、じゅーすのんで。とまともたべてね」


「ハハ、まいったな・・」

 

 


「では、これより第18期“劇団宇宙”研究所入所試験を

開始いたします。受験者の皆さん、試験番号順にお並び下さい。

始めに劇団副代表、影山 信より挨拶がございます」

 

募集人数30人。受験者444人。

Auditionは始まった。

 


そして、僕は。


稽古場から溢れんばかりに並んだその群衆の中に、

朝の彼女の顔を見つけていた。


何百人もいるその空間で、

 

彼女のいるスペースだけ、不思議に僕には輝いて見えた。

 


コラージュ mike86


2009/02/13 01:18
テーマ:創作 カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

創作話 次回予告

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バーニーが久しぶりに私の傍に来てくれました。仁との2ショットは、まさに圧巻^^

 

 

いやはや・・書いた。書きました~~!

 

バレンタイン記念の創作。


はっきり言って書けないと思いましたよ。

仕事から帰ってきた時には、まだ半分近く書けてなかったんですから。

 

記念創作っていっても、今回はKA・ZO・KUシリーズではなく、

主役はバーニー。


まだ、こちらには「鳳仙花が咲くまでに」は載せてませんから、

リアルタイムでのここでのUPは、まだ先になりますけどね^^


その「鳳仙花が咲くまでに」をそろそろ連載しようかなと思っております。

今回は毎日連続UPじゃなく、週1での連載とさせていただきますね。

(実は、これで創作のストックが無くなっちゃうんです^^

なので、ゆっくりと・・)

 

「菜の花の記憶」で登場した仁の弟。バーニー。

彼と、彼の恋人、松原操の物語です。

 

毎週、土曜日の連載にしますね。


なので、第1回は次回からです。


どうぞ、よろしく~~。

 


 


2009/02/12 01:01
テーマ:亜矢子 カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

亜矢子

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今日は短編を1つ^^これは、去年の4月。サークルの2周年記念に書いた作品で

す。タイトルを見て?って思った方も多かったのでは?亜矢子さんは誰でしょうね。


あのシリーズの登場人物の中で1番辛かったのは、多分・・この人。

 

 



<10月20日 土曜日>


今日は半ドンだったから、午後は好きなレコードでも聞きながら、

来週の運動会の飾りつけを作ろうと思っていた。

小さな花飾りや輪つなぎは、時間が空いた時に職員総掛りで作っ

ていたけど、入退場門の大きな飾りは、ここ何年か私が作って

いたから。


大のクラッシックファンだったお義父さんのレコード。

園長室のキャビネットの中にぎっしり入っている。


私は趣味も教養もなく、普段はもっぱら歌謡曲専門だけど、

園児も職員も皆帰った土曜の午後、ここで1人そのレコードを

聴くのが好き。

 

今年の飾りは大きな薔薇の花にしようか。

それとも皆の好きなドラえもんがいいかな・・

 

そんな事を考えてたら、あの人から電話。

 

ベルが鳴っただけで、“あの人だ”って分かる。

その音は、とても優しく部屋の中に響いている。

 

電話を待ち焦がれていたのが、声から伝わらなかったかな。

私の声が上ずっていたのを、あの人に悟られなかったかな。

 

罪悪感と、ほんの少しの期待。

いけない・・と分かっているのに、

あの人の声に胸が震える。

 

「転勤願いを出した」って。

「隣町の施設に移動希望した」って。


それは・・どういう意味?

もしかしたら“私達の傍にいてくれる”っていう事?


ううん。


自分勝手な期待をしちゃいけない。


私は、ただの“友人の未亡人”なんだから。

 

 

<11月18日 日曜日>


今日は、小学校の学芸会。

今年の5年生の出し物は、太宰の“走れメロス”

 

昨日私が「5年生には少し難しいんじゃないの?」と聞いたら、


「母さん、5年はもう大人だよ!太宰くらい当たり前さ。

それにこの話は熱い話なんだ。男同士の友情の物語なんだぜ!」

だって。


まったく・・この所、何かというとすぐ私にケチをつける。


担任の先生に相談したら、「反抗期に入ったのかな。お母さん、

成長の過程ですから、大きな気持ちで見守ってあげてください」

っておっしゃった。


私も幼児教育を仕事にしてる訳だから、それは分かるけど、

実際に毎日毎日こう突っかかってこられたら、

こっちも黙っていられない。


ちょっとの口ごたえが、口喧嘩になって、

最後は本気になって怒ってる。


・・私って、母親失格だ。

だって母親のくせに、5年生相手に本気で熱くなっちゃう

んだから。


最近は背がぐんと伸びたし力もついたから、

手加減してたらこっちがやられちゃう!


こういう時に男親がいたらって思うのよね。

きっとこれから思春期に入って、もっと難しくなると思うし・・

 

あはっ!そうだった。“学芸会”

びっくりしたわ、主役なんだもの。


きっと、話してくれてたよね。

多分いい加減に聞いて生返事してたんだ、私・・

 

ごめんね、仁。


メロス。

見ているうちに涙が出てきたよ。


妹のため、友情のために走るメロス。

自分が殺されると分かっていながら、ただ約束を守るために。


舞台の上の仁はとても頑張っていたのに、

本当は涙で滲んでよく見えなかったんだ。

 

大きくなったね・・・

初めて逢った時は、あんなに小さかったのに。


マリナーズの帽子を被って、上目遣いに私を見た5才の仁。

あの時の仁の目が、今でも忘れられない。


緊張しすぎていたのか、事故の後遺症か。

園に着いて私の顔を見た途端に、バタンと倒れた仁。


何日か続いた高い熱が嘘のように下がったあの朝。

おかゆを持って来た私に、仁は言ってくれたわね。


「Thank you・・mam」って。


どうか、仁の記憶が戻りませんように。

この幸せが、ずっと続きますように。

 

そうだ。

私は、仁がいれば何もいらない。

仁さえ傍にいてくれれば、それでいい。


それ以上の事を望むのは、いけないことなんだ・・

 

<12月25日 火曜日>


やっと2学期の終業式。

昨夜サンタさんにプレゼントを貰えた子も、

のんびり屋のサンタが今晩やっと来る子も、みんな嬉しそう。


お迎えのお母さん達に年末の挨拶をして園児を送り出し、

先生方に遅くなったボーナスを渡して、今年の業務は全て終了。

ガランとしたホールを見て、やっと大きな溜息が出た。


お義父さんが亡くなってから、3年。

今まで忙しくて、園の事だけで精一杯だった。


家の事は後回し。

日頃、園児に「お片づけしようね」と言ってる私なのに、

実態は、掃除をサボって散らかし放題。

一番大切にしなければいけない仁の事も、

かまってやれない日が続いてる。


ごめんね、仁。

我が家のサンタさんは、今日やっと街へお買い物。


ねぇ、また今年もサンタへのお願いは漫画なの?

もっと他所の子みたいに高価な物はねだらないの?


しかも仁の誕生日は23日だから、

バースデーケーキもプレゼントも、

クリスマスと一緒になっちゃうのに。

 

夕方買い物から帰ると、

園児のいなくなったホールで、仁は体を動かしていた。


ホールいっぱいにマットを敷き詰めて側転と前宙の練習。

そして今度は跳び箱を組み立てて、ただ黙々と飛び越えていく。


将来の夢は?って聞かれると、

いつも返って来る答えは“体操選手”だもんね。

家が幼稚園でよかったのは“いつでもマットが使える”

って所らしいし。


しばらく覗いていたら、

「母さん、晩飯まだ?俺、コロッケがいい」だって。


こらこら、今日はクリスマスだよ。

私だってクリスマスくらいご馳走作りますって!

・・と言っても、駅前で買って来たショートケーキと、

フライパンで焼いたチキンだけだけどね。

 

仁。

いつもありがとう。


君がいるから、私は毎日笑っていられるよ。

私の息子になってくれてありがとう。


今夜は神様に感謝する日。

君に逢えた母さんは、世界で一番の幸せ者です。

 


<12月31日 月曜日>


大晦日の1日はあっという間に時間が過ぎる。


溜まった大掃除と、まるで進んでいない年賀状。

おせちの買出しに、下ごしらえ。


「どうせ2人っきりなんだからテキトーでいいんだよ」

って仁は言うけれど、私だって一応は影山の嫁なんだから、

形だけは整えて、お義父さんや慎一にお供えしなくちゃ。


普段ぐだぐだしている私が、汗噴き出しながら廊下を雑巾掛け

しだしたから、仁は可笑しそうにゲラゲラ笑い出した。


「何が可笑しいの!笑ってないで手伝いなさい!」


大声で怒鳴ったら、仁がひょいひょいっと手招きする。

怒った顔のままついて行くと、客間と台所がピカピカになってた。


「家事はね、要領。母さんの掃除は効率が悪い」


あ・の・言い方!子供のくせに親を馬鹿にして。

くやし~い!・・憶えてなさいよ、仁!


最近は体力も口喧嘩でも負けちゃうことが多い。


でも、「家の男は俺だけだから」って、仁はよく言う。

あれでも、あいつなりに私を護ってるつもりなのかもね。


・・少し癪だけど。

 

<1月3日 木曜日>


突然、あの人が家にやって来た。


「年始のご挨拶に」


そう言って、仁の好きなシュークリームの箱を抱えて、

しかも初めて美雪ちゃんを連れて来た。


仁は、大好きな稲垣のおじちゃんの訪問が嬉しそう。

小さい時から時々やってきては、

お菓子や漫画を買ってきてくれるおじちゃん。


この人の存在を、仁はどう思っているんだろう。

アメリカからこの人に連れて来られた事は、

まるで憶えていないようだけど。


初めて逢う美雪ちゃんがあんまりかわいいので、

11歳の男子は照れていた。


いつもの様に豪快にシュークリームを頬張ろうと大口を開けた

仁は、美雪ちゃんが見ていると気付くと急に大人しくなった。


「何照れてんのよ」と、私が言うと、


「っるさいな・・そんなんじゃないよ・・」

と、今度は乱暴にシュークリームを口に入れる。


そんな仁を見て、美雪ちゃんはケラケラ笑った。

あの人から話に聞いた通り、明るく元気な子らしい。


そして美雪ちゃんはシュークリームを食べ終えると、

「お兄ちゃん、凧揚げしよう!」と、照れてまだ頭を掻いて

いる仁を、強引に外に連れ出した。

 


お茶を入れ替えようと台所に戻ると、

ガス台の前の窓から凧揚げをする仁と美雪ちゃんが見えた。


初めは嫌そうにしていた仁も、もう笑顔で話しているみたい。

子供達は夢中で遊んでいた。

 

「亜矢ちゃん」

 

その時、窓の外の仁たちをボーっと見ていた私を

あの人はそう呼んだ。

今まで一度もそんな風に呼んだ事ないのに。


返事が出来ずにいる私に、もう一度あの人は呼びかける。

 

「亜矢ちゃん」


目の前のヤカンがシューシュー湯気を立て始める。

私は慌てて火を止めようとして、熱いヤカンに手を触れた。


「熱っ!!」


次の瞬間、私の手は水道からの冷たい水で冷やされていた。

後ろからあの人の手が私を包み込み、蛇口の下に当てられる。


「やだ!稲垣さん、止めて・・あはっ、私っておっちょこちょい

だから、すぐドジばっかしちゃって。いつも仁に叱られるのよ。

母さんは落ち着きがないって」


「すぐ冷やさないと。本当にそそっかしいから、君は」


「あの・・手・・」


「子供達、楽しそうだね、よかった。美雪はおてんばだから仁と

合うか心配してたんだ。ちょうどいい。少し勇気がいる話だから

このままで聞いて。

亜矢ちゃん。結婚してください。

今日美雪を連れてきたのも、君と仁に逢わせたかったからなんだ。

前に話した転勤願いが受理されたよ。

今年の春からこっちの施設に移れる。

美雪も今年は入学だし、名前が変るならいいタイミング・・」


「ちょっと、ちょっと待って。急に何?私、まだ何にも」


「長かった。長かったよ・・僕には。君は?君は、どうですか」

 

あの人の息が、首筋にかかる。

私はめまいを起こしそうだった。


何度も・・

何度も想像した。


あの人に抱かれる事を何度も何度も夢に見た。


いけないことだと言い聞かせてた。

私は死別したとはいえ、影山の嫁だったから。


あの人にも、妻子があったから。

 

慎一と結婚して、幸せだったのは初めの一年。

その優しさも情熱的な行為も、私を愛してくれての事だと

思っていた。だけど、子供が欲しいという私に慎一は決して

“うん”とは言わなかった。


私に一体何が出来ただろう。

日に日に生気を無くしていく夫に、義務だから抱いてくれと?

やがてガンを発症した夫を見捨てろと?


慎一の心にいた人は、仁を産んだ人。

彼女には、私には許されなかった慎一の子供がいた。

私は跡取りの名の下に、仁を彼女から取り上げた。


慎一は苦しんでいた。

苦しんで、もがいて、そして・・・・逝ってしまった。


罪悪感と嫉妬。

嫌悪感と仁への愛情。


私は壊れそうだった。

 

稲垣 智明は、慎一のNY時代の友人。

慎一と彼女を知る唯一の人。


あの人が訪ねて来るたびに心が安らいだ。

くだらない笑い話や、日々の愚痴。

仁と遊んで、ふざけあって。


私はあの人に助けられた。

あの人がいなかったら・・

私は仁を手にかけていたかも知れない。

 

安らぎが、恋に。

信頼が、愛に。


あの人の奥様が事故で亡くなった時、私は怖くなった。

自分の想いが、また人を傷つけたのかと。

非難されるような関係ではまるでなかったけれど、

私は自分から距離を置いた。


あの人の想いを知りながら、私は自分の想いを封印した。

 

「・・離してくれない?逃げないから」


「あ、ごめん」


「いままでと一緒じゃダメなの?友達のままでいいじゃない」


「亜矢ちゃん、いいかい。君は今まで頑張ってきたんだ。

慎さんの事、影山の家の事、園長として、仁の母親として。

1人で笑顔作って、頑張って・・もういいよ。少し休め。

君はきっとそう言うだろうとは思った。

でもだめだ、これは譲れない。妻の墓に報告してきたんだ。

ここに来る前、慎さんのところにも。

“君と結婚する”ってね。

“許可”を取りにじゃないよ。“報告”に行ったんだ。

美雪には女親が必要で、仁には男親が必要で、

僕には・・君が必要だ。

・・君には、僕が必要じゃない?」


「突然やってきて、勝手にプロポーズして・・・

私を、泣かせようと思ったって・・・ダメだからね・・

第一、子供達だって・・」

 

「幼稚園、俺がやるから」


いつの間にか、仁と美雪ちゃんが立っていた。

仁は美雪ちゃんと手を繋いで、恥ずかしそうに私にそう言った。


「俺が大きくなって園長になるよ。大きくなって影山家を守る。

だから大丈夫だよ。母さんは、おじちゃんと結婚しろよ」

 

-----

 

「ばあば!ばあば、ごはんよ~」


「え?・・ああ。そうか・・

舞ちゃん、ばあばを迎えに来てくれたの?」


「うん。ままがね~ごちそうできたって!

あのね~いちごのけーきもあるのよ~

ねえ、ばあば。きょうは、ばあばのおたんじょうび?」

 


我が家に、久しぶりに家族全員が揃っている。

今年は舞のおしゃべりが始まって、とても賑やかになった。

瞳ちゃんに私の昔のネックレスをあげようと捜していたら、

鏡台の奥から懐かしい日記が出てきた。


もとより適当な性格の私だから、毎日は書かれてないけれど、

あの時の私は、少し臆病で・・相変わらず男勝りで・・


色々あったなあ。


結婚、慎一の死。

仁を引き取って、お義父さんを看取って、智明と再婚して。

美雪を死なせてしまって、仁に辛い想いもさせた。


でもよかった。

仁は幸せになったわ。瞳ちゃんに出逢ったから。

そして、私にはもう1人息子が増えた・・

 


「マム?どうかしましたか?舞は声だけ掛けて、もうダディーの

膝の上です。みんな呼んでますよ。行きましょう」


「うん、今行くわ・・ねぇ、バーニー」


「はい」


「ありがとうね。仁を許してくれてありがとう。

あなたから仁を取り上げて・・私、後悔する事でいっぱいなの。

あなたのお母様にもひどい事・・」


「マム?僕のマムは今、あなただけです。

ダディーも僕には、最初から稲垣のダディーだけです。

そうですよね。僕達、家族でしょう?さ、行きましょう」


「あなた、いい男ね。いい息子だわ」


「仁よりいい男ですよ、僕は。今頃気付いたんですか?

ハハハ・・あ、そうだ。聞くの忘れてました。

今日はマムの誕生日?毎年この日は家族で集るんでしょう?」

 

 ・・・ううん、バーニー、今日はね・・


私と仁が親子になった日なの。

そして、智明と再婚した日。


この日を忘れないようにしようって。

毎年、家族でこの日を迎えようって。

 

智明がね・・

 

    智明がね・・・・

 


「亜矢ちゃん、おいで!ケーキ切るよ」

 



コラージュ、mike86


2009/02/11 00:26
テーマ:日記 カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

侵略者の足音

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おい、新聞に載ってるぞ。そろそろキテるらしいって。それはまさしくその症状だ

と思うが・・おい!くしゃみする時は、人の方向いてするな!!




朝起きて、何故か頭が少しボーっとするなぁと思ったんですよ。

確かに昨夜はいつもより少し遅かったから寝不足って事もありまし

たけど、何だかスッキリしない感じがして。

 

何とか起き上がり、トイレに行って、顔を洗って。

 


ん?・・え??・ああ・・来る来る・・・・ふ、ふえっくしょーん!!!

 

キマシタ、今年も。

 

スギ花粉!

 

はあ~来なくてもいいのに・・

 


1回出ると連続して出るのが花粉のくしゃみ。

朝っぱらから箱ティッシュ抱えちゃいました。トホホ・・


この所、風も強いですからね。

風に乗ってやってきたんだと思われます。


喘息の時に血液検査したんですが、私、スギのアレルギー数値が

棒グラフの端まで振り切っちゃってましたから^^


お医者様曰く「お、凄いね」


あのね。感心してる場合じゃありませんって!!

 

とにかくシーズン始まっちゃいました。

これがゴールデンウィークくらいまで続くわけで・・・

 

気も重いけど、頭も体重も重い。

今年の飛散量は多いっていうし。

 

・・韓国にはスギ花粉症って無いらしいですね。

じゃ、彼はこの苦しみ(大袈裟)を知らないんだ。


よかった。


彼が、箱ティシュ抱えて大きな音で鼻かんでる図なんて

想像したくないし(笑)何よりその方が幸せに違いない。



 


脅威の侵略者。


その足音が、ひたひたと貴方の町にも・・(怖っ!^^)

 

 


2009/02/10 01:06
テーマ:友達っていいよね カテゴリ:韓国俳優(ペ・ヨンジュン)

何度行っても

Photo

何回目かなぁ・・新大久保。家から1時間だから近い韓国です。


美味しいランチと楽しいお喋り。今日はいい日でした・・

 



今日、お友達と新大久保に遊びに行ってきましたー^^


人身事故の影響で待ち合わせに遅れそうになった私。

新大久保の改札に何とか待ち合わせ時間ジャストに着けました。

焦りました~。待たせてごめんなさーい♪

 

駅の傍のお店(分りますよね^^)が新しくなったという話は聞いて

ましたが、本当に改装して綺麗になってました。


2階はフェイスショップも入ったコスメのスペースに変わってました

し、食品も扱ってましたね。平日昼に結構混んでましたよ。

大きなミニョンさんのお顔や、フェイスショップJOONに見つめられ

て、店内で少しドキドキ・・

私を見てるわけじゃないのに。困ったもんですね。

 


仲良くさせてもらっている今回のメンバーでは、私は一番年下^^

計画性も行動力も劣る私は、いつも完全に甘えてばっかり。


落ち着くんですよね~。


いつも職場では指示なんか出す立場だったりする私ですが、

本来はそんな統率力なんか私には無いんです。

でも何故か仕事だと出来るんですよね。

優柔不断だから決定に時間も掛かるし、普段の私はぐだぐだなん

ですが・・


それが、このメンバーの中に居るとスパッスパッっと色々決めて

くれてすごく気持ちがいいんです。

 

思えば2人兄妹で妹の立場にはいた私ですが、父も兄も飛びぬけて

生活能力の無い人達だったし、母は能天気で私を頼ってましたからね。

自然、私は小さい時からしっかりしてなけゃいけなかったんですよ。


それに時々疲れて息を抜きたい時もありましたね。

旦那が私より8つも年上なのは、もしかしたらそんな所も関係してる

のかも知れません。甘えられる相手が欲しかったのかなあ^^

 


話は戻って、新大久保♪

美味しいランチを頂いて、食後のコーヒーを頼んだんです。


私達の前に運ばれてきたのは、紅茶より薄い色のホットコーヒーでした。

味はうーん・・・(爆)


韓国のコーヒーってドラマ見てても思いますが、すごく薄くありません?

冬ソナでも誕生日に家にきたサンヒョクとユジンに、チュンサンが淹れた

コーヒーは薄かったですよね。

今日のは、そんなもんじゃない破壊的な薄さ(爆)でしたが、本場では

どうなのかしら?向こうに行ったら確かめなくちゃ!


スタバが大好きな娘は向こうのスタバに興味津々。

「絶対行く」と楽しみにしています。

 

結局コーヒーの口直しに、買い物の後、コーヒーショップへ。

ケーキを見ればまた食べたくなって、お喋りもヒートアップ!


本当に楽しい時間でした。


・・・また遊んでね♪

 

あ、そうそう。


夕飯は、買ってきたサムゲタン!

2袋買ったんですが、思ったより中身が詰まってて、美味しかったー。

家にあった冷凍チヂミとキムチで韓国祭り。(簡単だわ)


何だか一日食べてた気がするなあ・・


本当にご馳走様でしたー(笑)


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